二人のスイス人がメルボルンのセミファイナルに残り、大変な盛り上がりだったの
でしょうが、正直ロジャー・フェデラーが敗れた時に悲しみを抱いていた人が多くて
バウリンカにはそれほど期待はできなかったのでしょう。しかし、見事な勝利で彼は
スイスに凱旋帰国します。

 テニスを見るが、格闘技も好きな私にとってはかつてのK1グランプリの決勝を見る
思いでした。

 かつてのK1グランプリのファイナルでマイク・ベルナルドとアンディ・フグが戦った時
(フグもスイス人という共通項がありますが)これは、優れたものを持って生まれた人と
普通の人が鍛えあげて作り上げた人の戦いだと思いましたね。

 マイク・ベルナルドは生まれた時から骨が太くて、理想的な筋肉のつき方をしていて
キックボクシングの王者になるためのトレーニングシステムの中で優秀な成績で
世界の頂上までやってきたファイター。

 一方、アンディ・フグはサッカー少年であり、生まれた時も『普通の人』であった。
その彼が空手の世界に興味を抱き、空手の技術を理解して、普通の人が稽古を
重ねて肉体的にも精神的にも鍛えあげてタフな相手とも戦えるコンディションを
作った。

 この二人が対戦した時に『普通の人』が日本の大会で日本のお客さんの前で
空手の技で優勝した時に大熱狂の空間が生まれました。

 優れた肉体を有し、スペインというトッププレイヤーも暖かい気候も練習環境も
あるところから育ったラファエル・ナダル。

 十年前にはランキングも低くてチャレンジャーレベルであり、肉体的に普通の人が
ロジャー・フェデラーというスタープレイヤーと共にツアー生活を共にすることで
多くのことを学び、理解して成長をしてきてメルボルンの決勝を迎えたのがスタニスラウス・
バウリンカ。

 この二人が戦い、ナダルのコンディションという部分もありましたが、バウリンカは
やるべきことをして、必要なことをこなして優勝しました。

 これはスイスのテニスにとって非常に大きな勝利ですね。
同時にいわゆる『普通の人』のプレイヤーにとっても勇気や感動を与えるものだったと
思います。

 ナダルもジョコビッチもフェデラーもマレーも優勝できなかった今年のオーストラリアですが
面白い大会であり、印象深い決勝だったと思います。

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