ノバク・ジョコビッチがボリス・ベッカーをコーチとして迎えて新しいシーズンを
迎えます。

 80年代にパワーやスピードで一気に世界のトップに駆け上がり、世界のテニスシーンを
席巻したボリス・ベッカーですが、指導者という立場ではあまり脚光を浴びることはありませんでした。

 まぁ、プレイヤーサイドが話をしようとしても、安い額を提示しにくかったり、契約内容が
折り合わなかったりということもあったのでしょう。

 ただ、ジョコビッチだったらビッグマネーを払うことは可能である。そして、ベッカーサイド
としても色々なことが言いやすいというのはあったと思います。

 ジョコビッチとベッカーが関係を開始するという報道がされてからあの二人の共通点とい
うものを想像していたのですが、私からするとテニスの技術や戦術というものよりもむしろ
国民的なスターと母国の変化というものに共通するものがあるのではないかと思いますね。

 一人のスタープレイヤーが世界レベルで頂点に立った。そこで国民のテニスという競技
に対する関心が高まり、スポンサーが集まり、大会が開かれたり、競技者人口が増えたり
ということが起こる。

 そして、プレイや成績が業界人だけに限らず、国民の各層が話題にして、グランドスラム
イベントやデビスカップでの様子を注目して議論となる。

 テニスという競技がテニスファンだけの中で盛り上がっていた80年代のドイツが
国民的なスポーツとしての広がりを見せたことと2000年代以降のセルビアでの
盛り上がりにはかなり類似性を感じます。

 国民からの大きな期待を背負うこととなり、単なるテニスプレーヤーということでなく
国を代表するような立場となった現在のジョコビッチがベッカーという存在を求めたのは
技術や戦術以外にもプレイヤーとしてのバックグラウンドが似ていたからなのかなと
思ったりします。

 果たして二人のコラボレーションによってジョコビッチがどんな進化や深化を見せるのか
新シーズンは間もなくです。

コメント