目が覚めてすぐにネットへアクセス。今日も雨のようだが午後からは雨は止んで
曇りで推移しそうであるが果たしてどうなるのだろうか。

 そして、私はぐっすり寝ていて気がつかなかったが深夜の二時過ぎにマグニチュード
7弱の地震があったということである。建物の新しいか古いかでかなり影響の有無があ
ったのかと思う。

 ヤフーの天気からイタリアのレースメディアの方に目を移すと気になるのが
これが昨日の夕方にチーム関係者を集めてスケジュールの検討のためのミーティング
の報道である。

 一つの提案が日曜日に全てのセッションを詰め込むために朝の六時過ぎから
セッションをはじめるということ。これはそうなるとメカニックは朝の四時にはサーキット入り
して仕事をしなければいけないわけで、サーキットホテルに寝ていない連中というのは
水戸や宇都宮で寝泊りしていて大体一時間かけてサーキット入りしている。そんなわけで
金曜日の仕事の後にほとんど寝ずに翌日の早朝から丸一日仕事をするわけでほとんど
のチームが反対したということ。

 そして、スケジュールを一日ずらして月曜日にレースをするというアイデアに関しても
ほとんどの関係者が反対で日曜日にレースをするということで一致して、もし、レースが
できないほどの雨が降った場合はその時に再び会議を招集するということなったという
ことである。

 車中の人となり、サーキットへ向かう。イタリア人二人もぐっすり寝ていて地震には
気がつかなかったようだ。建築後まだそれほど年数が経過していない建物というのは
耐震性があるのだろう。

 我々は気がつかなかったが、イタリアから心配した連中が彼らに莫大な数のメールや
フェイスブックでのメッセージを書き込んだりしていて、イタリア目線ではマグニチュード7,2がいかに大きな地震であり、日本的感覚では大したことではないと実感する。

 サーキット到着。まだ、霧がかかっていて雨も続いていてげんなりする空気感がパドック
を包み込むがそれを少々ぬぐい去ることができる出来事が爆音とともにやってきた。

 ドクターヘリが到着である。

 観客席から大きな拍手でヘリコプターが迎えられる。改めてライダーのサポート体制が
ないとレースはできないものだと実感する。

 パドックを歩くと昨日は雨のためずっとピットボックスやプレスセンターにこもっていた
連中と顔を合わせる。しかし、想像していた通りカルロ・ペルナットとマルコ・マセッティ
の姿はない。あの二人がいないというのはどうも大きな不足感というものを感じてしまう。

 ジャンピエロ・サッキと顔を合わせる。チームスタッフは宇都宮で寝泊りしているが
彼はルーカシュ・ペシェックとともにツインリンクもてぎのサーキットホテルで宿泊
していて夜中にテロか戦争が始まったのかと思ったら地震でここまでの揺れを経験
していたことはなかったようでかなり長い時間パニックになったと話していた。

 私が『だから、昨日までは髪の毛が真っ黒だったのに、一気に真っ白になったんですね』
というとメカニックもライダーも大爆笑であった。

 パキスタンでマグニチュード7,7の地震が起きたときは300人以上亡くなったが日本
では被害はないようで国力の差を感じる一方、これが雨が降ってから一安心と
思った時に地震が起きたら色々とセッションに続行などにある程度障害がでるわけで
夜中に地震が起きたのは不幸中の幸いでよかったかなとも思う。

 結局、午前中のセッションは全てのクラスキャンセルとなり、リスケジュールが発表に
なった。まぁ、午後からどれだけ天候が回復するのかわからないが、土曜日と日曜日に
長い時間をとって予選とウォームアップをするということになったようだ。

 午後から何とか雨が弱くなり、何とか走れるコンディションとなり、いつもよりも長い
時間の予選が始まる。世界選手権ではあるが、Moto2とMoto3クラスはキリスト教徒
の一部の国にパスポートを持つ人たちが上位を占める。また、改めて日本人が少ないと
日本人ライダーが少ないとテレビにしても観客動員やスポンサー参入なども熱が低く
なることを感じる。まぁ、東京オリンピックの場合は日本人のヒーローとヒロインが出て
キリスト教徒やイスラム教徒と競り合い活躍するところに熱が生まれるし、身近な
競技が多いからプレイヤー人口も多いから商品メーカーや流通関係のサポートや
経済活動も発生するのだろうが改めてバイクレースの特殊性やある種の閉鎖性を
感じる。

 土曜日の全てのセッションが終わり、日曜日のスケジュールを読む。まぁ、何とか
土曜日に予選ができてDORNAも一安心だろうし、世界中のレースファンも月曜日に
レースだと見にくいわけで日曜日の午後でレース開催で喜んでいるだろう。

 予選が終わり、シャークヘルメットのブースへ行くといたのがフランスのヘルメット
メーカーに野暮用があったエルベ・ポンシャラルと初めて会うフランス人ジャーナリスト。
いつものようにポンシャラルとシャークヘルメットの連中とフランス語で話すとフランス人
ジャーナリストは私のフランス語に驚く。

 『君はフランス語はうまいね』と褒めてくれるがいつものように『私はイタリア語は上手い
と思うがフランス語はうまくない。ただ、多くの日本人はフランス語に限らず外国語が
うまくないと自覚していたり、少ししか話せないと理解していると口を開けずにただただ
沈黙してしまう。私はそういう考え方とは違って、上手くないことを誰よりも理解している
から、サーキットやテニスの大会でフランス語やチェコ語を話す機会があったときは
話そうとしているんだ。沈黙は何も生まれないが、話せば何かが生まれるのは自然な
ことで、話そうという気持ちは有している』と言うと納得していた。

 ライダーでも私の言語でも下手ウマというのはあって、教科書通りというのも綺麗だったり
素晴らしかったりするが、そうでないあり方で自らを表現するというのも大事であると
は思う。

 キャンペーンガールも来場してきて、華やかさを感じるようになってきた。スポンサー
の各企業にしても人がたくさんいてお祭り感や盛り上がった空気感がないと商品も
売れないし訴求効果もないだろう。日曜日は熱やエネルギーが感じられる時間と
なって欲しいものだと思いながらサーキットをあとにする。

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