ある意味、プロレスの天才である曙が相撲の大本山でもある両国国技館に
プロレスのタイトルマッチに出場するために戻ってきます。

 彼の相撲に対する思いというものは色々な複雑なファクターで成立していると
思います。お世話になったということや日本の中で稼ぐことができ、名声を得たという
こともあるでしょう。

 その一方で、彼が相撲の社会を捨てて格闘技やプロレスの世界に行きたくなるような
何かが相撲の社会の構成要因としてあったと思います。

 二子山部屋が合併を経て巨大化していった時に彼はその巨大勢力に対して戦って
栄冠を得ていました。

 若貴の兄弟が二子山部屋に所属して、八百長を避けるために同部屋対決は優勝
決定戦以外にはないのでしょうが、二子山部屋に強い力士が集まると強い力士と
戦うことが少なくなり優勝しやすい仕組みがあったのは当然です。

 そこで若貴の二人、同じ時期に二子山部屋所属で優勝したり好成績を上げることが
できたのは必然で、巨大な二子山部屋勢力に立ち向かい劣勢な戦局の中であげた
彼の優勝は二子山部屋勢のそれよりも価値があったと思います。

 相撲から離れて今日まで格闘技なりプロレスでファイターの立場でリングに上がり
続けている彼には言いたいけれど言えないことがあったことでしょう。アメリカ人は
とかく公平や公正に関して口うるさいのですが、彼が力士だった時代にそれを
口にすることはなく、そして、同時期に土俵で戦った連中は戦う立場を離れていますが
曙がリングに上がり続けているというのは心に秘めていることがあるのでしょう。

 その彼がどんな思いで両国国技館でリングに上がり、ベルトに挑むのでしょうか。
そして、全日本プロレスがどんな仕掛けやストーリーを考えているのか気になります。

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