期待されながら大王者になれなかったいう意味ではいいプレイヤー
だが準主役であり、どこかテニスキャリアで大英帝国の期待を背負いながらウィンブルドン
を勝てなかったティム・ヘンマンと重なる部分を感じていました。

 強いし、うまい。そして、決して動きも悪くないし、コートを大きく使うこともできて、
メンタルの部分でも位負けするようなこともない。そんな彼でしたが、結局はATPの
タイトルは取りましたが、グランドスラムイベントは優勝候補に何度かなりながらも
若さと勢いで取れた一回のみで、そこから10年は勝てずに終わってしまいました。
何やらかつてのヘビー級のボクシングの世界ランカーを思わせるものがありました。

 マイク・タイソンが元気でトレーナーが厳しく彼に接していて、科学的であり、
精神も厳しく鍛えることができたタイソン全盛期には他のボクサーが強くても
チャンピオンになることはできずに倒されてきました。

 世界のトップテンに入るということは相当に強いのでしょうが、タイソンという
突き抜けた存在がいたときはトップテンから頂上には行けずに主役はタイソン。
ほかは準主役で引き立て役になってしまい、彼らはリングを去るか、階級を変える
しかなかった。

 ロジャー・フェデラーが強かったこの10年のあいだで、ロディックが輝くことは
ありましたが、スイス人の光が強すぎて、影になってしまったことは確かでしょう。
そして、ナダルが一気に駆け上がり、フェデラーとナダルの二人が出場している
大会ではこのふたりを破るというのは相当難しい。

 そして、この三年ほどのジョコビッチの充実ぶり。

 フェデラー、ナダル、ジョコビッチがトップ3シードの大会で優勝するというのは
ロディックをもってしても厳しいわけで、タイソン全盛期のそのほかのトップテン
ボクサーを思い出してしまいます。

 もちろん、実力の世界ですから、そこを打ち破る実力や技術があればいいのでしょうが
何かが足りない、何かが欠けているということでそれができず、彼もコーチにジミー・
コナーズを呼んで、ブレイクスルーしようとしたのでしょうが、ウィンブルでの激闘で
最後に微笑んだのはフェデラーの方でした。

 まだ、できるのでしょうが、惜しまれて辞めるというか、公にしていない怪我なり
理由があるのでしょう。記者会見とそれ以外のソースから出てくる情報で彼が抱えて
いたものが何で、何を保持できなくなったり、進化できなくなったから辞めることにしたのか
気になるところです。

コメント

nophoto
Singaporean
2012年9月1日22:49

なるほどと思います。
フェデラー前後の世代ではヒューイットもダビデンコも怪我と付き合いながらまだ現役でやっているのにで1歳若く、まだやれそうな感じなのでこのタイミングで引退するのは意外でした。それにしても2009年のウィンブルドンは2セット目のタイブレークで逆転された、それもボレーミスからなのが何ともロディックらしい。この試合では
最後までサービスをKEEPし続けて最後でブレークされて負けましたが、
緩急をつけながら、攻め守りをメリハリつけながら試合していたのが印象に残っています。
ロディックがフェデラーに勝ちきれないというよりフェデラーが同世代にここぞという場面で絶対に負けない凄さを称えるべきかなとも思います。