朝から寒い。そして、雨である。九時前のストック1000のウォームアップが始まる直前の気温が9度。路面温度が11度である。まぁ、アイスホッケーが国技の国なので春や秋はわかるが、この時期でここまで天候に恵まれないチェコラウンドというのも珍しい。

 私がお手伝いしているインターモトチームは地元ということもあって、スポンサーや友人、知人関係の来訪者が多い。そんな中、エースライダーのファビアン・フォレは朝のウォームアップを走らなかった。まぁ、天候が午後には回復すると見込んで雨の中でリスクを追って、リソースを費やすのはやめておこうという作戦である。

ストック1000選手権はチームペデルチーニのブライアン・スターリングが優勝。ウェット中で勝つべき人がしっかりとレースをコントロールした見事な戦いぶり。勝ち味を覚えた彼が実力を上げてきていることが理解できた勝利であった。

 ピットウォークが行われている間に天候は変わってきて、この長いサーキットで雨は降っているところと降っていないところに分かれている。そして、ピットレーンオープンレースディレクションはウェットレースを宣言。

 スーパーバイクのレース1を前にして、雨雲レーダーとにらめっこで各チームがタイヤチョイスに悩む。

 レーススタート。序盤はカットスリックを使ったと思われるダビデ・ジュリアーノ、マキシーム・ベルジェがトップ集団を形成するが、レース中盤を迎えて、レコードラインは徐々にドライになる。トム・サイクスがレースをリードし、これをマルコ・メランドリが追いかける展開。しばらく離れて、今季、中途からカワサキファクトリー入りした、新人のロリス・バスが骨太の
堂々とした走りで追いかける。

 素晴らしいファイナルラップの攻防を制したのはメランドリ。BMWの準地元と言えるチェコでニュルンブルクには行きにくかったり、行けなかったりする関係者の来訪もある中で価値ある優勝である。サイクスも素晴らしい戦いで今季の充実振りが感じられたレースであった。三位にはバス。新人の初々しい表彰台の姿が印象的であった。

 スーパースポートクラス開始はもう完全なドライであり、また、気温も穏やかでレース日和である。いい天気の中でレーススタートとなったが、直後中団グループでアクシデントが発生。はたから見ているとわからなかったが、赤旗提示となり、再びピットイン、ピットレーンオープンとなった。
 さすがにここでも時間があり、その間に路面はドライになり、全車何の疑いもなくドライタイヤを選択。レーススタートとなった。

 レースは中盤からフォレ、ソフオグル、パークスの三台がトップ集団を形成。この三台に優勝が絞られて果たして後半どんなクライマックスが待っているかと思っていたところに衝撃的なクラッシュの映像。

 壊れたマシンがレコードラインのすぐそばにあり、ライダーが立ち上がって歩き始めたが、芝生の部分に出たところで倒れ込んでしまい、状況が心配な様子が画面で捉えられる。
そこでレースが赤旗が出されて終了。この時点でのトップはソフオグルであったが
二周前のフィニッシュライン通過時はトップがフォレ。そして、ラップ数を重ねていたこともあって、これで最終リザルトとなった。

 沸き返るインターモトカワサキのピット。昨年のここも同じように赤旗中断となり、ジーノ・レアが彼自身にとってもチームにとっても初優勝を決めたが、今年もチームにとって最重要レースと言えるチェコのブルノで喜びを味わうことになった。

 ソフオグルや後半での勝負を考えていたパークスにとってはやるせない結果となったが、これも勝ち運に恵まれているライダーやチームが勝ったと言えるだろう。棚ぼたは餅が落ちてくる場所、時間にその場にいないと手にできないものではある。

 私とこのチームは彼らがストック1000選手権をしていた時からの長い付き合いであり、こうしてお付き合いがあるわけで、とても嬉しい瞬間を共有できて本当に嬉しかった。

 スーパーバイクのレース2がスタート。サイクスとカワサキの充実ぶりが素晴らしい。このレースを制するのはイギリスのカワサキスタかと思ったが、マルコ・メランドリが後半攻勢を開始。残りニラップの際どい攻防があったが、メランドリがサイクスを攻略。サイクスも最終ラップに反撃に出るが、これを隙を見せずにしっかりと防御。メランドリの鮮やかな勝利であった。

 ドゥカティのカルロス・チェカが三位。違う三つのマニュファクチャラーのライダーが表彰台に昇ることになった。

 歓喜のBMWスタッフ。表彰台の前に集まりセレモニーが始まり、ライダーの名誉を称えてイタリア国歌が流れる。例によって、イタリア人は歌わないので、私が歌うことになる。マルコも彼女もそのほかのBMWのスタッフも喜んでくれて何よりだった。

 レース後、公式記者会見、La7の番組出演を終えたマルコに祝福の言葉を送り、一緒に写真を撮り、少々、来季のライダーマーケットの話を聞き、一日が終わった。チームとの関係が悪化して、エッフェンベルトドゥカティでここで走らなかったシルバン・ギュントリは二台体制となるチームパタでシルバーストーンを走ることが確定で、まだイギリス選手権を走っているライダーの誰がワイルドカード参戦するかはわからないままここを離れる。

コメント

nophoto
Elouise
2012年9月9日21:02

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