浪人していたロレンツォ・ランツィ、ライダーと別れてしまったプロレースホンダ。
チームとマシンを求めるイタリア人ライダーと経験と能力があり、現在、契約がない
ライダーを求めるチェコのチームが美しい奇跡を起こしました。

 浪人しているのは、ライダーとしてプロフェッショナルで走って稼ぐためであり、
チームにお金を持ち込んで走らないからだと公言するロレンツォ・ランツィは色々と
話があっても契約に結びつかず、まとまった契約がない状態でした。

 今季をレースをテレビで見ていた彼にチェコのプロレースホンダが声を掛けてきました。
初めてのホンダのスーパースポートバイク。当然のようにオランダに向かう前にテスト
走行をしてマシンに慣れ、サスペンションの特性やチームの仕事の進め方に
理解をしようと考えていた彼に待ち受けていたのは山間のサーキットでの大雨。
テストはキャンセルとなり、オランダでぶっつけ本番でのレースとなりました。

 初めてのバイク。極めて難易度の高いサーキット。そして、小規模チームで
型落ちのマシン。この環境とパッケージでいきなりトップグループに加えるほど
世界選手権は甘くありません。

 ため息と諦めが混ざる予選を終えて、後方グループで走る日曜になるように思えました。

 しかし、イタリア人ライダーのロレンツォ・ランツィとチェコのチームのプロレースホンダ
に神風が吹きました。

 雨のレースとなり、マシンの戦闘力が縮まり、雨が苦手なライダーが転倒したり
ペースを落とす中でまさにホンダCBRをモノにして、まさにsinging in the rain。
世界の列強をごぼう抜きにしてトップ集団に追いつき、鮮やかに抜き去って独走態勢
でレースを支配しました。

 持っている能力を発揮するチームを求めていたライダーとライダーを求めて
活動を停止することなく活動を続けてライダーを探していたチームが空が泣いた時に
笑いました。

 ダッチウェザーを味方にして、素晴らしいレースを見せてくれました。

 世界選手権レベルのレースを勝つというのは大変、難しいことですが
諦めが悪いことが美しいこと、続けることは大切なことを忘れなかったライダーと
チームにこのクラスでの初優勝がやってきました。

 フェデリコ・フェッリーニとニーノ・ロータの音楽が溶け合い素晴らしい作品が
生まれたようにロレンツォ・ランツィとプロレースホンダが見事なコンビネーションを
見せました。

 レースは何が起きてもおかしくない世界ですが、土曜日の予選を終了した時は
予定調和を感じさせたのですが、雨を味方にして素晴らしいレースをして、
制覇したのはロレンツォ・ランツィとプロレースホンダでした。

 

コメント