中部地方では現在、東海テレビがかつての昼のドラマの『牡丹と薔薇』を深夜に放送し
ています。まぁ、ソフトの二次利用というのはDVD化や書籍化だけでなくてこうしてかつて
制作した自局で放送枠があり、かつて商業的な評価を得た番組を再び深い時間ではあるが放送して、視聴者に観てもらうというのもありだと思います。

 昼間に見ていた時の小沢真珠の濃い演技も怖さを感じるものがありましたが、
夜中に見ると迫力がありますね。あのドロドロ感というのは昼間にフィットするもの
でもありますが、同時に深夜の深い時間にも合うものだなと思いました。

 あの作品が小沢真珠にとっての出世作となったのですが、他に彼女の作品に関して
思い浮かぶものが出てきません。

 まぁ、舞台での彼女の活躍ぶりというものがあり、その舞台が場所や日程などの
関係で私が見ることができていないということもあるでしょうし、以前に比べて私が
特に地上波のテレビを見る時間が減ったということもあるのでしょうが、小沢真珠の
顔を見て、真っ先に浮かぶのはやはり『牡丹と薔薇』ですね。

 バラエティでの彼女も好きですが、やはりあの作品での濃い演技を見ると、女優
小沢真珠はいいなと思います。

 そんな小沢真珠が表現者としてやりたいことは何だろうかと深夜に放送を見終わって
から思いました。

 ひとつのはまり役があり、それは評価され当たって財産とはなる。しかしながら、
それだけでなくて違うこともしたいというのは表現者として当然だと思います。

 しかし使う側から言うとなかなかひとつの役が大きなインパクトを与えると色が
付きすぎてしまって、そのはまり役から離れた役の話をしにくいのではないか。

 例えが変かもしれませんが、宝塚の中で男役で素晴らしい演技力と観客動員力を
持っていた人に人生に疲れた主婦の役を与えてどういう演技をするのか見てみたい
と思うテレビドラマのプロデューサーがどれだけいるのでしょうか。

 以前、真矢みきが見ていたテレビ番組で宝塚を退団というか、卒業というか、離れて
しまう後輩の女優に対して同じ経験をしていたので『外の風は冷たいわよ』と話すシーン
がありとても印象に残りました。

 宝塚の舞台という中でははまり役があり、そこで高い評価を受けて、そこに
ずっといるのであればいいのでしょうが、そうではなく宝塚を離れて活動することに
なった時に何ができるのか、何を求められるのかで難しい局面を経験した真矢みき
の言葉には重みがありましたね。

 酒を飲みながらそんなことを考えていて、ある種、役者の今までの経歴にない
役をオファーするプロデューサーはよく能力を判断できているというか、ある種
ギャンブラーとも言えますね。

 かつて石黒賢、岡本信人に既製の枠組みとは大きく異なる悪役をやらせたり、八名信夫
に頑固だが気のいい親父の役の話を勧めていい演技を引き出した制作サイド
はお見事だし、そのオファーした側の期待に十分に応えて演じた彼らも素晴らしいもの
だと思いました。(まぁ、石黒賢はさわやかなサラリーマンの役ばかりや岡本信人は人
はいいが気の弱い主人の役ばかりで違うこともやってみたいと思っていたようですし
八名信夫は役者人生の中で嫌われたり殺される役ばかりやっていて違うことを
やってみたいなと強く願っていたところにやりたいことをやれるチャンスが与えられて、
願望を爆発させていい演技になったのかもしれませんね。)

 小沢真珠の代表作と狂気に満ちた演技を見ながら、彼女についた色合いとは違う
イメージの役のお芝居も見てみたいと思ったりした私でした。

 

 

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