世界選手権レベルで戦うライダーというのは色々な意味での強さを求められる
のですが、その多様な意味での強さを持っているライダーの一人にガボール・
タルマッチの名前を挙げることができます。

 私と彼が出会ったのは2001年の鈴鹿。当時、ハンガリー語しか話せなかった
彼とはハンガリー人のチームスタッフを交えて、いろいろとやり取りを始めた
のですが、この時、私がブタペストの町が好きであるということやハンガリーの
ワインがおいしいなどと言ったら喜んでいましたね。

 翌年、再会したときにはすでに英語を話すようになり、間に誰も入らずに
率直にシリアスなこともくだらないことも話すようになりました。

 その彼との会話の中でよく思うのは、単純に速く走るという作業だけでなく
ライダーとして必要なことをしっかりとこなしているということでした。

 今回のレースウィークですが、私は木曜日にサーキット入りしました。
そして、私が付き合っているヘルメットメーカーと彼の所属しているチーム
の仮設オフィスが隣り合っているということもあって、よく顔を合わせたのですが
彼が私を捕まえて知りたがったのは日本の600ccのエンジンを使ったレースの
内容やライダーのレベルといったものでした。

 もてぎというサーキットでどれぐらいのタイムで走っているのか、日本の
ライダーのレベルはどうなのか、タイヤメーカーの競争はあるのか、世界を
目指している日本人ライダーにはどういった連中がいるのかなどということを
知りたがっていました。

 一日時間をもらい、その間に調べて、金曜日の朝にまとめたレポートを彼に
渡したのですが、笑顔であいさつした後に、彼の眼が光ったのを見逃しません
でした。

 単純に速く走るということ以外に強いライダーというのは研究熱心だったり、
執着心が強かったり、いい意味で欲が深いものですが、それを改めて感じた
私でした。

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