今のイタリアのテニス環境は90年代のバイクレース環境に似ている

タイトルを読んで、なるほどと思いながら同意した人は90年代と今の
イタリアのレースのこととテニスのことを理解している人だと思います。

イタリアにおいてMotoGPの放送ですが、90年代初頭はイタリアの国営放送
のRAIが放映権を持っていました。

しかしながら、その後衛星放送のみでの放送になってしまいました。

その時に出現したのがマックス・ビアッジでした。

その彼がイタリア製のバイクのアプリリアで日本の岡田、青木といったホンダ
ライダー、原田というヤマハライダーと戦い、ヴェネツィアの郊外の小さな
アプリリアというメーカーで日本の巨大メーカーとすぐれたライダーを
相手に激しい戦いを繰り広げ世界タイトルを獲得しました。

これはアプリリアというメーカーの販売拡大につながりましたし、
イタリアのテクノロジーが日本のバイクを破ることで素晴らしいイメージの
拡大に寄与しましたし、マックス・ビアッジというライダーの人気の
上昇やスポンサーの参入ということに結び付きました。

そこで、イタリア人のライダーが世界格式のレースでイタリアのバイクで
勝利して何が起きたのか。
お金を持っている親は子供にミニバイクやカートをさせる流れが起き、
さらに国営放送のRAIが放映権獲得に動き、長い話し合いの末に
イタリア国内での放送を生放送ですることになりました。

有料の衛星放送から無料の地上波放送へ。熱狂的なファンだけが払ってでも
見るというスタイルから、それほど熱のない人でも、イタリア人が活躍
していたら見てみようという形へ。
そんな放送形態の変化の中でイタリア人ライダーが活躍し、アプリリアが
競争力を見せれば、当然盛り上がりを見せます。

そして、そこに現れたのが天性の能力とスター性を有しているヴァレンティーノ・
ロッシでした。

スターライダーの出現と地上波放送によって、多くの人が日曜の午後は
レースを見るようになりました。

そして、RAIの倍の値段を提示してmediasetがitalia1での放送を決め、
今のイタリアではレースはポピュラリティを得ています。

ここ数年のイタリアテニスを振り返ってみましょう。
フラビア・ペンネッタ、フランチェスカ・スキャボーネがランキングを
上昇させて、フェドカップで歴史的な勝利を決めて、国別対抗戦で世界一に
なりました。

ペンネッタとスキャボーネの二人に加えて、サーラ・エッラーニの充実ぶりも
素晴らしいものがあります。

そして、トップ100に六人のイタリア人女子プレイヤーがいます。

イタリアのテニスファンはペンネッタやスキャボーネの活躍に盛り上がり、
喜びを感じています。

そして、ペンネッタはイタリア人女子の最高ランクの十一位を更新し、
歴史上初めてトップテンプレイヤーとなりました。

フェドカップでの歴史的勝利。トップテンプレイヤーの誕生、そして
そのプレイヤーが美しいこともあり、異性受けもいいこと、盛り上がって
いるが有料の衛星放送での放送が主であり、地上波での放送が乏しいこと
など、有力なプレイヤーの登場、コマーシャル受けの良さ、放送の形態など
90年代のレースを覆っていた状況に極めて似ています。

新世紀になって、優れたライダーの活躍によってレースの方は地上波放送と
スポンサーの増加、イタリアでの二大会開催という方に向かっていきました。

果たしてイタリアのテニスは2000年代のレースの道筋に向かうのでしょうか。

ペンネッタがニューヨークでどんな活躍を見せるのか、あるいはスキャボーネが
いいプレイをするのかによって、地上波放送やスポンサーディールなど近い将来
の計画が動くと思います。
一人や二人のスタープレイヤーの活躍が色々なものを巻き込みながら、集中と
拡散をしていく姿をビアッジやロッシで私は見ています。