午前中の雨が止み、日差しが強さを増してきて、長そでにジャケットを
羽織ったお客さんが傘を閉じて、着る服をしまうころ、ダミーグリッド
上に何種類かのタイヤを用意して、125㏄クラスに参戦するライダーが
スタートの時を迎えました。

レコードラインの外はウェットコンディション。しかしながら、レコードラインは
どんどん乾いてきている。さて、路面の乾きが遅い方にタイヤチョイスを
向けるのか、乾いてきて晴れ用のタイヤを選ぶのか、誰もが頭を悩ましていた
スタート直前のライダーとエンジニアたち。

確信と疑念の中でタイヤを選んで、レースがスタートしました。

ポールポジションスタートのアンドレア・イアンノーネは調子よく飛び出した
かに思えたが、ポジションをどんどんダウンしていく。
そんな中で飛び出して、前半から素晴らしいスピードでリードを築いて
いったのが、ダニー・ウェブ。明らかに異次元の速さでどんどん他のマシンを
離していく。

しかしながら、彼のスピードはウェットコンディションから明らかにドライに
なるにつれて、苦しさを増していく。
強い日差しと共に彼のリードが失っていく。

そのイギリス人に襲いかかっていたライダーはそのほとんどがインター
ミディエイトかカットスリックというドライとウェットの両方に対応
するタイヤか浅い溝のタイヤを使っていたのだが、そのライダーをレース中盤から
蹴散らすように上位に上がってきたのが、アンドレア・イアンノーネである。

彼は前後ともに、晴れ用のスリックタイヤでギャンブルを打ち、雨が残っていて
路面温度の低い状態では無理をせずに、走り、他のライダーの先行を許して
いたのだが、路面が乾いて、理想的なタイヤの状態になり、満タン状態
から燃料の搭載量が減ってくるにつけて、攻撃を開始。
そして、次々と先行するライダーを鮮やかに追い抜いていく。

そして、誰よりも早く、力強く走って見せて、見事にギャンブルを当てて
優勝である。

狂喜するチームクルー。前半の苦しい状態を辛抱しながら走って、
後半の路面状態、ライバルの動向をしっかりと見極めての攻撃と
浮き沈みやアップダウンというものがある中で、ハートは熱く、
ヘッドはクールに打ったばくちは最良の結果を得ました。

お金を持ち込んで走るライダーから稼げるライダーに変わっていくのは
成績によりけりなのですが、鮮やかな勝利は彼に美しい未来を想像
させるでしょう。

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