とんでもない男子シングルスのバトルでした。

フェデラーの涙とナダルの笑いには何が含有されていたのでしょう。

フェデラーのプレイは実に素晴らしいものでした。そして、彼があれだけの
コートカバーリング能力を見せてくれたのは私にとって初めてでした。

あの走る姿を見て、元王者がトップコンディションだと理解できました。
しかしながら、また、同時に違った感想を持ったのも事実でした。

いわゆる普通のプレイヤーだったら、フェデラーはあれ程走り回ることは
ないということ。

ナダルが相手だからあれだけ走る必要があったということであり、ある意味
走らされていたとも言えます。

あれだけ走ったのに、いい状態で最終日のコートに立ったのに負けてしまった
という事実。
それが彼のセレモニーの時の涙につながった気がします。

今回の決勝のサマリーを見ていて明らかだったことがあります。
それはフェデラーがセットを奪った時と失ったときのファーストサービスの
確率のあまりにも大きな違いです。

そして、そのセットを失ったときの出来の良くなかったファーストサービス
でかなりネットにかけるフォルトが多かったことがあげられるでしょう。

今回の試合を振り返って、あれだけのコンディション、あれほどのコートカバーリング能力
がありながら負けてしまったことを考えて、二度とナダルに勝てないと思って
しまうのか、

あるいはファーストサービスの精度を上げれば、再びナダルを破ることが
できると考えるのか。

世界王者になるような人というのは欲深いものであり、冷静に物事を分析
できる人であり、そして、手に入れたいものを手にするのに努力をする人だと
思います。

元世界王者のリベンジがあるのか、気になるところです。

そして、フェデラーがフィジカルでもサイコロジカルでもさらなる進歩を
遂げたら、それにきちんと対応するのがナダルでしょう。

技術開発競争の果てに、技術者の絶え間ない開発の結果、いい商品を消費者が
得られるように、高いレベルでのつばぜり合いが私たちテニスファンに
中毒性のあるテニス鑑賞とエクスタシーを与えてくれると思います。
フェデラーエクスプレスの停車とナダル特急の新しい時代の発車が
新たな時代の幕開けとなることでしょう。


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