現今の経済状況からカワサキがお金がかかり過ぎて、成績が上がらなかった
クラスからの撤退を発表しました。

どういうわけか、企業が何かを始めるときより、辞める時の方が一般紙の報道が
大きくなるのがこの国の特徴ですが、今回も朝日の朝刊のスポーツ面にも
公式発表の前に記事になっていたりして、撤退する時の方が注目度が高かった
気がします。

カワサキとしては、MotoGPは辞めるが、スーパーバイク世界選手権と
スーパースポート世界選手権に関しては活動を継続していくとのこと。

私としてはこれは正しい判断だと思います。

そして、アプリリアやBMW,KTMといったメーカーもカワサキと同じような
経営判断を下したのだと思いますね。

レース専用車両による世界選手権で、果たしてそれが一般車両の売り上げに
どれだけ寄与するのだろうか。そして、その選手権でライバルの小さくなって
いく後ろ姿を見ることが多いというのは、株主や関係のある企業は何か
言いたくなることでしょう。

昨年のF1のモンツァでスクーデリアトーロロッソのフェッテルが鮮やかな
勝利を挙げた時にふと思ったのは、ホンダの株主や関係企業はホンダの
経営陣やレース部門の関係者に何か言いたくなるのではないかというものでした。

バイクのレースの世界だと、カワサキのマシンの走りや順位を見ていて、
近い場所にいる人は何か言いたくなるような気がしましたね。

一部の部分的な成功を除いて(中野やドゥピュニエのいくつかのレース)
参戦一年目から今に至るまで、カワサキが輝くことはまれでした。

アプリリアやイルモア、WCMやチームロバーツの撤退の後にテールエンダー
であることが多かったカワサキが勝利に近づくには劇的にマシンを変えたり
実力の高いライダーを引っ張ってくることが必要だったのでしょうが、
マシンは大体、前の年のモデルの踏襲をベースとしたものであり、冒険を
感じさせないもんでしたし、ライダー人事を考えるると、明石のメーカーは
ロッシやベイリス、ビアッジといったお金もかかるかもしれないが能力も
高いライダーを引っ張ることはなく、スペシャルではないが、いいライダー
を使うという姿勢に終始していました。

毒になるかもしれないが、強烈な薬にもなるというマシン作りやライダーの
セレクトをしてこなかったですね。

私生活で仲の悪かったり、トラぶったプロレスラーであっても、能力があり、
興行上有効なカードになると思ったときにアントニオ猪木という人は
問題のあったファイターでも使って、収益を上げながら、相手も光らせ、
自らも輝くということをしたのですが、そういう毒気のあるオーガナイズ
能力を感じることはなかったのがカワサキの最高峰クラスでのレース活動
でした。

カワサキにアントニオ猪木はいなくて、『元気ですかー』と叫ぶ存在はなく、
モハメド・アリを呼んでくるような手腕やアイデアもなく、凡庸性ばかり
が目についたMotoGPでの活動だったような気がします。

ヤマハがロッシを獲ったり、ドゥカティが長年の付き合いがあったミシュラン
と別れてブリヂストンを使ったような、見方や内部の人間でも驚くような
決断の後には勝利が存在しました。
変わることや現状に満足しないことで、勝利を手繰り寄せることができるの
でしょうが、それが明石のサイドにもヨーロッパ側にもなかったと思える
私です。

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