ポールポジションはヤマハR6を走らせるファビアン・フォレ。
二日間の予選を支配した彼が大本命。誰が彼を止めるのか。
何が彼を阻止するのか。

ファビアン・フォレという素晴らしいライダーにここ数年
課題となっているのはスタートダッシュである。
ポールポジションスタートであるが、中団グループに飲み込まれ
なければ彼のスタートは成功であると言えよう。

今回の開幕戦のサプライズはラスコルツとラグリーブの快調
ぶりがあり、さらにトライアンフの意外な競争力の高さが
あった。こういったライダーが何かヤマハファクトリーの
フォレとパークスの二人とハンスプレーホンダのレアと
ピットの二人にどう絡んでいくのだろうかというのが
スタート前のレースの焦点であった。

さて懸念されたヤマハライダーのスタートはまぁまぁのものであ
った。レースが落ち着いたらトップに何も困難なことなど
なく立った。

後ろから追いかけるのが今季からイギリス選手権からこの
カテゴリーに殴り込みをかけてきたジョナサン・レアと
帰り新参のアンドリュー・ピットのハンスプレーホンダの
二人。その後ろからラスコルツのホンダ、パークスのヤマハ、
ジョーンズのホンダが続き、少し離れてマッコイのトライアンフ
とスタートで出遅れたラグリーブのホンダが続く。

二周目に入って、まだ縦長の隊列の状態のところでジョナサン・
レアがハイサイドで転等。運の悪いことにすぐ後ろを走っていた
ピットはよけきれずにもらい事故の転倒。ハンスプレーホンダ
にとっては悪夢のウィークエンドとなった。

事故の影響でトップのフォレから二番手には間があき、
快調のR6を駆るフォレは後ろを気にせずにクルージング状態。
独走で優勝を確信した走りであった。

今回好調だったトライアンフのマッコイがマシントラブルで
リタイア。彼だけでなくアイッチソンもリタイヤとなり
トライアンフにとっては散々なデビューレースであった。

二番手争いは白熱。パークスのヤマハとラスコルツとジョーンズ
のホンダが一団でずっと二位争い。しばらく離れてブルックス
のホンダが続き、その後ろにラグリーブのホンダである。

ファイナルラップに入り優勝を確信していたファビアンに悲劇が
訪れた。なんとマシンが惰性で急激にスピードダウン。
オイルがなくなったのか、マシントラブルか、エンジントラブル
かはっきりしないが、よろよろとマシンを走らせるが、あきらめ
なければいけない彼のそばをレーシングスピードで走りぬける
二位集団。これが優勝争いとなった。

ラスコルツはパークスを抜き去り、最終コーナーに入る。
初めての優勝が目の前に近づいていたが、パークスが最後の
抵抗と攻撃を試みる。

最終コーナートップはラスコルツ。しかし、スリップストリームから
アクセルをオープンにしてスリップから抜け出して内側に
マシンを寄せて、全速力でフィニッシュラインに向かうパークス。

ほんのわずかだがパークスのR6がラスコルツを上回り、
優勝を奪った。

二位に失意のラスコルツ。三位にはジョーンズであった。

レースのほとんどを支配していながらノーポイントに終わった
フォレ。勝利までほんのわずかのところまで行きながら
勝ちきれなかったラスコルツ。ほんの数百メートルだけ
しかトップを走ることができなかったが優勝をものにした
パークス。

レースをひとつ勝つことと言うのはいかに大変であり、
予定調和があったり、なかったり、運が必要だったりと
多くの教材を有しているようなレースであった。

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