トルコ社会におけるクルド人問題を考えるきっかけになったのは
ユルマズ・ギュネイの『路』でした。どこの国や社会にも
マイノリティは存在し、民族問題はあるものですが、映画という
伝達手段と表現方法を通じて、世界的にギュネイはその当時の
トルコ社会を描き出しました。

そのトルコが色々な意味で変化や変動を続けていく中で
EUに加盟したいという願望がうねりとなっていますが、
果たしてそれは可能なのだろうかという素朴な疑問があります。

まぁ、チェコ人なんかと話すとトルコがヨーロッパと言われても
ぴんとこないだろうし、これがスカンディナビアの国々の人々
からするとあまりにも地理的にも文化的にも離れていて
拡大EUの考え方としてはわかっても心理的にちょっとなぁという
感じだと思います。

行政システムやシェンゲン協定といった枠組みでひとつに
なり、さらにユーロという通貨(日本人はあまりなじみがない
だろうが、人口200万のスロベニアも今年の初めからユーロ
導入となっています)によって、EUの中での貨幣の統合も
進んでいるが、トルコをEUのメンバーとして迎えるには
心理的、地理的な距離感があると思います。同時に今回の
イラク圏内におけるクルド人組織に向けての越境攻撃というのは
トルコをEUに入れたくない人たちにとって丁度いい否定の
理由ができたような気がします。

カンヌ映画祭の審議委員はギュネイを評価していますし、
フランス、ドイツ在住のクルド人はギュネイを英雄として
称えています。そんな彼らがトルコのEU加盟の運動をどう
見ているのかは明らかです。

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