ブリヂストンのMotoGPでの1−2−3フィニッシュとストーナー
のタイトル決定を意味するチェッカーフラッグが振られた時に
山田宏氏は人目をはばからずに涙をずっと流しながら表彰台へ
向かっていました。

日本のレースというのはファンが思っている以上にメーカー
にとって、あるいは当事者や関係者にとって大きな意味の持つ
レースなのでしょうが、そのもてぎで表彰台独占を果たし、
ローリングストーナーは世界タイトルを決めたことは
ブリヂストンにとって、歴史的な一日であったと思います。

私がかつて、イタリアのスーパースポートのチームを手伝う
ことになったときに当該のチームがブリヂストンさんと
交渉を持つことになり、その場で通訳をしていたのですが、
その時の相手が山田さんでした。

SUGOのレースのときに実際にタイヤを使用して、そこから先の
ことを考えての交渉となり、色々な考えが交錯する中、結果は
チームの思っていた方向ではまとまらなかったのですが、
誠意を持って、レースウィーク中に対応していただき、
いい印象を抱いた覚えがあります。

まぁ、会社ですから、エンジニアサイドと会社のマネージメント
サイドでやりたいことに違いが出たりすることはあるわけですし
ヨーロッパサイドと日本サイドに温度差があるのも企業の規模が
大きくなれば出てくることでしょう。

大企業で色々な人や考えがある中、日本とドイツに強固な
橋を架けて、スタッフをまとめながら、開発と研究を続けて
レースをしていくというのは大変な仕事だと思います。

そんな組織に所属し、MotoGPの参戦を決定して、もてぎで
MotoGPクラスの表彰台を独占したことと初めて最高峰クラス
で世界王者となったというのはレースの中でもブリヂストン
社内でも新しい歴史を作った記念レースになった気がしました。

表彰台に向かう途中で涙を流している山田さんの姿に
あきらめの悪いことが美しいことであることを改めて知った
私でした。

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