まぁ、ヨシムラスズキの速くて強かったこと。
予選こそ、カルロス・チェカのホンダとミシュランスペ
シャルにやられてポールポジションを獲れなかったものの、
七秒台をたたき出し、そして、決勝ではホールショットから
チェッカードフラッグまで一度もトップを譲ることなく、
ドミネートしたのが今年の鈴鹿八耐でした。

速く走る実力と安定性を持つことの重要性をこのレースでは
感じたのですが、同時にめぐってきたチャンスをモノにするのも
勝負師の必須条件であることを改めて感じました。

今回の鈴鹿八耐でも絶対的な本命はホンダの二台のHRC製の
バイクでした。予選の走りを見て、ずば抜けて速いことは
誰の目にも明らかでした。

しかしながら、ポールポジションスタートの岡田が八時間
の耐久レースなのに、フライングを犯してしまう。

勝てるバイクと体制を有しているのに、それゆえのプレッ
シャーからか焦りを感じた岡田が30秒のペナルティス
トップを受けてしまった。

さらに、もう一台のホンダHRCのトーズランドがヨシムラを
追い詰めていこうと素晴らしいタイムをたたき出して、
差を詰めていったときにダンロップコーナーでクラッシュして
しまう。

昨年のウィナーチームのテクニカルスポーツは事前テストで
辻村が指を痛めてしまい不参加。経験の不足が感じられる
手島が代役参戦。

さらに伊藤はシーズン前の怪我によってこの今回の鈴鹿が
今年の初レース。この真夏の最もタフなレースを経験の
浅いライダーとまともに今季走れていないライダーという
ペアでトップグループは耐久というよりスプリントレースを
八回やるレースを戦うことになり、その懸念された
フィジカルや経験のネガティブな部分が現実化され、
優勝を目指すというより、できうる限りのタイムペースで
走るということになった。

ハルクプロのマシンは安田が飛ばしていった時に周回遅れの
マシンの処理を誤り(安田本人は前をふさがれ、はじかれたと
言い、もう一人の当事者は救急医療を受けている状態)
マシンを壊してしまった。

ヤマハ勢はヤマハジャパンが用意したR1二台が二台とも不幸の
連鎖になってしまう。
大崎、中須賀のR1はクラッシュで追いかけるより完走に向け
て走りだすのがやっと。
スタファー、阿部組のもう一台のR1が終盤にオイル漏れ
トラベルに見舞われ修理のためのピットインでできうる
限りのペースで完走を目指す走りとなり、表彰台が遠のいた。

ライバルの脱落や不調などもあり、他者のタイムペースや
戦術に目を向けずに、速く安定的に走る戦術を取れ、
それをしっかり実行に移せるマテリアルを持っていたヨシムラ。
ショーワのサスペンションもブリヂストンのタイヤもライダーと
チームの要求にしっかり応えての一人旅となった。

相手がつぶれたからとか、ショーワとブリヂストンが強力
だったからというのは事実だが、巡ってきたチャンスを
しっかりモノにしたのはチームもライダーもやるべきこと
をしっかり行動に移したからである。

ウィナーにふさわしい走りを最初から八時間後までした
のが加賀山と秋吉であり、それをするために想像も形成も
できたのが今回のヨシムラだったと思います。
私はあのチームに知り合いがいるわけでもないのですが、
率直におめでとうと言いたいと思います。

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