アンソニー・ウェストが雨のシルバーストーンを制して
翌週にはカタロニアグランプリの250をライディング。その
レースの翌日はカワサキのMotoGPマシンをテストして、
イタリアのミザノアドレアティコに再びヤマハR6をライディング
することになった。

シーズン序盤はホンダとソフオグルの圧倒的な速さと強さ
ばかりが目立ったシーズンであったが、予選を始まって
感じたのが、少なくともこのサーキットにおいて、各マシンと
ライダーの差が少ないことであった。ダビデ・チェカの話では
ここはアッセンと同様で成績やタイムに関してライダーのスキル
が占める割合が多いとのこと。となると、序盤のソフオグル
の強さは彼の操るホンダの600が強かったのかなと思えてしまう
ほどの予選の混戦ぶりである。

二回目の予選を終えて、ヤマハのパークスがPPであったが、
二番手のウェストと二十番手までが一秒以内にひしめく
壮絶な予選であり、上手くいけば二番手だが、コンマ数秒
の違いでグリッドポジションがとんでもなく後方になる
激しい戦いであった。

レースウィーク中目だったのがヤマハ勢の速さ。年に何回かで
あるがあのチームのサスペンションエンジニアがとんでもなく
セッティングを決めて、馬鹿あたりすることがあって、それが
今回だという声があちらこちらから聞こえてきた。二年前の
ラウジッチユーロスピードウェイのようなことがここでも
起きるのだろうか。

決勝が路面温度52度でスタート。先頭をウェストが奪い、
それをジョーンズとフォレが追いかけていこうとしたときに
ジョーンズとフォレが接触。私にとってはジョーンズが
レース序盤なのに気持ちが強く入りすぎていて、無駄な
アクシデントを引き起こした気がして仕方がなかった。
まぁ、穏やかな人たちで私に丁寧に接してくれるあのチームの
人たちの荒れ方は半端でないものだった。

そのアクシデントの翌週はドゥカティのマシンがオイルを
撒き散らしてリタイヤ。そのせいで赤旗中断となり、レースは
二ヒート合算タイムで計算されることとなった。

第二ヒートであるが、何とかトップに立って、逃げを打ちたい
ソフオグルであったが、それを割りに簡単に攻略したのが
ウェストのヤマハ。彼が苦しむことなく、取り立てて
プッシュしているように思えないのだが、ハイレベルの
走りを続けると後続は小さくなる背中を眺めるだけ。

パークスが少し離れて二番手を走行。その後ろから三番手
争いを藤原、サンナ、フォレス、ロッコリ、ソフオグルなどが
展開。とりわけサンナのアグレッシブな走りは見ていて楽しく、
レースを盛り上げてくれた。

中盤以降、ウェストは単独走行。二番手にパークスだが、
これをソフオグルが懸命に追いかける。四番手以降に
藤原、サンナ、フォレス、ロッコリとなり、マシン的に苦しく
なったのか、サンナは現状維持でチャンスがあれば仕掛ける
という単調なレース展開になったところでロッコリが
十分なマージンで抜ける時にしっかり抜く冷静さを披露。

結局、誰にも脅かされることもなくウェストが前回のイギリスの
レインレースに続いて、ここイタリアのミザノでドライでも
強さと速さを見せて連勝となった。

二番手争いは最終ラップまでもつれたが最後の最後にパークス
が根性を見せて二番手を奪い取り、ヤマハSSPの1−2フィニッシュ
となった。三番手にはソフオグルで、リタイヤしたフォレに
十分なマージンを取ってブルノ行きとなった。

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