もう、来月には開幕のカタールラウンド。二月スタートで
三月にはオーストラリアがあって、スーパーバイク世界選手権は
もう間近となっています。開幕に向けて各チーム、メーカーが
今年になって初めてテストを行いました。場所はフィリップ
アイランド。私の注目は、、、、。

トロイ・コーサー。ツータイムスワールドチャンピオン。
ドゥカティで一度、スズキで二度目の栄冠に輝いたこの
オージーは三度目の世界王座を目指すために走ります。
今年からヤマハの傑作リッターバイクのR1を駆って、
打倒ドゥカティ&ドゥカティの世界最高ドゥオを叩くために
静かに闘志を燃やしています。

しかしながら、まだ彼がヤマハのマシンやスタッフと共に
いる姿というのはまだまだ違和感を感じますね。色々と
その理由を考えていたのですが、それに気がつきました。

彼がアプリリアでRSV milleを走らせ、かなりタイトルに
近づいたとき、彼のそばには元ライダーのイタリア人が
いました。

彼が二度目のタイトルをコロナアルスタースズキで
決めたときにも、そのイタリア男はオージーの近くにいました。

そう、ジャコモ・グイドッティは昨年と同様にコロナアルスター
スズキのピットにいます。この元ライダーでエンジニアは
コーサーと共にチームを離れることはなく、今年もスズキの
リッターバイクの開発と改良に取り組んでいます。

すぐれたクリエイターのそばに秀でた実務家がいたり、
素晴らしいアーティストの隣に冷静に戦略を練る
マネージャーがいるのは、よくあることです。

トロイ・コーサーの隣に元ライダーで、ライダーのメンタリティ
を理解できる一方、冷静に俯瞰で状況を見て、的確にマシンの
セットアップや改良の方向性を指示し、ライダーが本領を
発揮できるマシンを用意する。ライダーを勝たせたいという
熱い思いと同時に、冷静に局面を理解し、タイムアップを
図るためにライダーをなだめたり、落ち着かせたりする
役割をグイドッティはしてきました。

このコーサーとグイドッティというコンビはアプリリアで
一定の成果を挙げ、さらにスズキで(このアプリリアと
スズキの間にコーサーはペトロナスでの活動、グイドッティ
はアプリリアのMotoGPでの仕事があり、勝利から遠ざかって
いた二人がスズキというマシン、アルスターというチームで
勝利に対する欲望が高まったときに再びコンビを組むことに
なった)世界チャンピオンに輝きました。

サーキットでこの二人の緊密な関係を見ていて、この
コーサー&グイドッティというコンビだからこそ高い
パフォーマンスレベルを維持することができ、スズキと
アルスターに初めてのスーパーバイクのタイトルをもたらす
ことができたのだと思っていました。

コーサーがヤマハのマシンをグイドッティ抜きのエンジニア
リング体制の下でどうやって開発し、競争力を高め、
勝利に近づけるのか。そして、勝利を重ねて、三度目の
世界王座に近づくことができるのか。

コーサーの近くにグイドッティがいない不在感を感じながら
彼が新しいチャレンジをどう展開していき、そして、
どんな果実を得るのか。まずはこのオーストラリアでの
テストを注目していこうと思っています。

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