日本に存在した二つの月刊バイクレース専門誌の一方の雄
であったサイクルサウンズが休刊を発表しました。
まぁ、仕方ないのかなという気がしましたね。

インターネットの時代になり、情報の速度という部分では
ネットにはかなわない。となると、レースというスピードの
世界のことを月刊誌でやるとなると、何らかのキラーコンテンツ
が必要なのは明らかでした。

マイケル・スコットや坂田和人の両氏によるコラムなどは
深みがあって興味深く読むことが多く、いいレイアウターが
存在したことを感じさせる誌面の美しさなどもあって記事の充実した
時にはあの雑誌を買うこともあったのですが、いかんせん、
月刊誌だと情報が遅いことと、時にとんでもないミステイク
をしたうえで、ジャーナリストでありながら、そのミスや
エラーを認めなかったりしたのは雑誌としての姿勢を
疑われる部分が大いにありました。

サイクルサウンズの編集部の近藤氏が書いていた記事で
マルコ・メランドリが1ポイント差で125ccクラスの
タイトルを逃した時にquasi world champion(ほとんど
世界チャンピオン)と書かれたTシャツを着ていたこの
イタリア人に対して、フランス語はわかるがイタリア語は
わからないと思われる近藤氏はquasi(イタリア語でほとんど)
という意味を理解できずに世界チャンピオンになりそこねた
のに世界チャンピオンTシャツを着て表彰台に立ったと
理解して、批判をしました。

その明らかな間違いを私は鈴鹿サーキットで指摘したのですが、
訂正をしないどころか、彼がチームを移籍した時に
世界チャンピオンになれなかったのに、世界チャンピオン
Tシャツを着るようなことをすると色々問題が起きるという
ことを書いていました。

まぁ、メランドリが個人的に嫌いなのか、あるいはベネトン
という企業に対しては支持する人も批判する人もいるのですが、
ベネトン嫌いの立場であんな文章を書いたのだろうかと思った
りしました。

現在、オリコンが音楽ジャーナリストが書いた文章に対して
誤りがあり、これが文章が真実として広まると経済的な
信頼性が落ちるということを主張して訴訟を起こしていますが、
(詳しくは http://xtc.bz/index.php?ID=396
メランドリのマシンを用意していたメーカーや部品を
供給していたパーツメーカー、支援していたスポンサーが
もし、この明らかな間違いを裁判で訴えるとしたらどんな
ことになったのだろうかと思ったりもした私です。

まぁ、私がこのブログを始めたきっかけというのは、
日本で信じられていることが実は違ったり、
部分的に正しいが、ある部分では違ったりしていたり、
そもそも報道じたいがなかったりしていることに対して、
私なりに事実を届けたいという思いがあったり、
私の思っていることを伝えたいという気持ちが高くなった
ということがありました。

サイクルサウンズのような影響力のあるメディアが
ネット時代で買われなくなってしまったという時代背景があり、私のような人が言葉にする真実の前に間違いを改めたり、訂正
したりすることなく、自らの過ちを事実だと思い込みながら、
メランドリを攻撃したりしていくなかで、報道に必要な
信頼性が欠けていってしまったような気がします。

まぁ、人間のすることなので間違いを起こすことはあるでしょうが、
それを認めて訂正する気持ちというか、懐の深さや許容範囲の
広さを持たなければ消費者の皆様に逃げられたり、スポンサー
が拒否反応を抱いたりしてしまうのではないか。それが
積み重なると会社や組織も末期症状を迎えるのではないかなどと
考えた私でした。

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