ロッシがヘルメットを脱ぐ(あるいは四輪用のヘルメットを
かぶる)時までおそらく、二年か三年。イタリアという国では
ロッシによって食べている人、潤っている人が多いのですが、
では、この七回ワールドチャンピオンになったライダーが
いなくなった時に誰が現れるのだろうか。チトーという偉大な
指導者がいなくなった後のバルカン半島は前任者が偉大すぎて、
すべての後任者は実務能力もカリスマ性も、指導力もなく
早々にいなくなり、その後、とんでもない時代を迎えてしまい
ました。

久米宏がやっていたニュースステーションの後の番組のキャスター、
星野仙一監督が指揮を執っていた阪神タイガースの監督。
どうしても後任は比べられるし、自分の前の世代が素晴らしい
業績を上げていると、低く見られてしまう。テレビ朝日や
阪神電鉄から声が掛かってもすぐに納得して、新しいキャリア
を始めるのにはかなり躊躇したという話を聞きました。

そんなところを外野から眺めていて、ヴァレンティーノ・ロッシを
超えることというのはかなり難しいだろうし、彼と同じような
待遇や道具を与えられても世界王者に近づくのは難しいとは
思います。

ロリス・レッジャーニやカルロ・ペルナットと話をしていると、
次の世代にはドヴィツィオーゾとアレックス・デアンジェリス
がいると彼らは口にすることが多いのですが、私はこの二人
以外にも日本では知られていないが可能性の高いライダーを
挙げることができます。

そのライダーとはクラウディオ・コルティです。

私のこのブログを読んでいる方にはすでにご存知でしょうが、
彼は速い。そして、実にクレバーです。

昨年のU20ストック600を制したのが、彼でした。
卓越したテクニックと闘争心を持ったこの男は業界的な
評価も高く、昨年の暮れにはSSとSTK1000のオファーが
どんどん入りました。

そして、今季はR1を駆って、イタリア選手権のSTK1000と
FIMカップSTK1000を戦い、さらに成長した姿を見せてくれ
ました。

長く4ストロークに親しみ、乗ってからすぐに速いタイムを
叩き出すことができる。ナチュラルに速く強いライダーだと
思います。

もちろん、彼にも克服すべき課題なり、片付けなければいけない
宿題というものは存在します。彼が成長して、さらに高いステージで戦ううえで必要なのはセットアップ能力でしょうか。
これは彼も認識していて感じたことや思ったことをどう表現
して、どのように周りに伝えて、マシンをより乗りやすい状態に
していくのか。バイクをより速くしていくのかを追求し始めた
のが今季の彼の姿だったと思います。

それが上手くいったときには圧倒的なタイムをたたき出して、
予選をトップを奪い、アンタッチャブルな走りを日曜日に
見せて圧勝した。しかし、それができなかったときに、
何とかできうる限りの最良のセットアップを導いて、
勝てなくても上位に食い込む走りをしなければいけないのに、
できなかったというのが今季の彼の姿だったと思います。

これから先のMotoGPやスーパーバイク世界選手権を考える時に
クラウディオ・コルティという彼の名前を覚えておいて悪いことはないと思います。

ダビデ・ジュリアーノとヨアン・ティべりオに関しては
また時を改めて書きたいと思っています。

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