新しい週刊プロレスの編集長のインタビューを読みました。
プロレス愛あふれる編集者が思いいれと愛情を込めて、
情熱的に書くところにヌーベルバーグの頃の
『カイエドュシネマ』を思い起こしたりしていたかつての
私ですが、今回の人事によって週刊プロレスにやってきた
のは、いわゆる『プロレス者』ではない人のようです。

ベースボールマガジン社というのは、総合スポーツ出版社で
週刊ベースボール以外にも、テニスやサッカーといったスポーツ
やボーリングや綱引きといった雑誌も出しているところで
スペシャリストもジェネラリストもいる会社だと思うのですが、
そんな会社でターザン山本のとんでもない爆発振りと
誌面作りで一時期、素晴らしい商業的な成功を収めていました。

その後、彼は業界最王手の新日本プロレスと喧嘩して、
事実上あの雑誌を追われ、後にベースボールマガジン社を
去ることになり、雑誌のパワーは失われ、プロレスという
総合スポーツ雑誌社としてはマイノリティに属する雑誌で
全社的な利益を上げていた会社はとんでもない減収減益
となりました。

さらにネットでのニュースの流通と公布による雑誌メディア
の衰退が重なり、このままではまずいと思った人たちが
いわゆるプロレス村から離れて色のついていない、党派性の
ない人を長期低落傾向にある週刊プロレスの編集長に引っ張って
きたというのがここまでの流れだと思います。

外国人監督がものごとを旧来の流れにとらわれずに物事を
変えやすかったり、違う業界にいた人がやってきて、
それまでの慣習や悪習をスパッと切りやすかったりする
ように、プロレス者でない人が既成のページや編集方針に
ないことをたじろいだり、躊躇したりすることなくやれたり
する可能性は大いにあります。

このベースボールマガジン社の人事異動と週刊プロレスの
新編集長就任がどんなリアリティとファンタジィ、
ガチンコと演出を見せてくれるのか楽しみです。

コメント