STK600

 一回目のセッションを終えてすぐにわかったのがカネパの
強さを速さ。このジェノベーゼに対抗していくのが、スズキの
600を走らせるシメオンだと思いきや、二回目の予選で
カワサキのジュリアーノがタイムアップ。予選二番手をカワサキ
を走らせるローマ人のものに。三番手にシメオン。しかし、
セクター2、3での圧倒的なカネパの速さに何も起きなければ
この週末は彼に対して存在することを認識する。カネパから
勝利の座を奪い取るには何をどうするのか。私の考えはただ一つ。
スタートダッシュを決めて、できる限り頭を抑えること。
それができたものだけがカネパに勝つことができる。

緊張感の中、スタートを迎える。昨年トップグループを走って
いながらエンジンブローで勝利の可能性を失ってしまった
昨年から一年。果たしてカネパの思いにマシンは応えてくれる
のだろうか。

土曜日の夕方、いよいよレーススタート。一列目の連中の
スタートは良かったがカネパの前に出ることはできない。
カネパが徐々に後続を引き離していく。

二番手争いはジュリアーノとシメオン。戦闘力の差がほとんど
なく、ドッグファイトを展開。その間にどんどんカネパの
姿は遠ざかっていく。

結局カネパは最後は余裕を持ってのチェッカーフラッグ。
二番手はジュリアーノがシメオンを抑えきってゲット。
三位にシメオンというメンバーでの表彰台となった。
この三人がこのカテゴリーの残り二戦の主人公になることは
間違いない。

 STK1000

いきなり走り出して『速いなぁ』と口に出してしまった。
理由は簡単、コルティが速すぎるのである。何せ一回目の
予選で二番手以降にコンマ9秒差。昨年のあのティベリオ
とのバトルの末にショッキングで後味の悪い結末となった
ドイツでいいバトルを見せたい気持ちは当然あるだろう。
高い集中力でいいタイムを叩き出していく。

二度目の予選に入っても状況は一緒であった。
何せバドビーニ、スカッサのMVアグスタの二人をコンマ9秒
引き離してのどうどうのポールポジション。その後ろに
体調が完璧でないポリータのスズキである。コルティのとんで
もないタイムのせいで予選落ちするライダーが増えてしまう
有り様であった。

土曜日の夜と日曜日の朝。変わらないのはコルティの強さと
速さ。まぁ、元気というかすごいというか、早くもうSBK
かSSでもいいので世界選手権でその元気な走りで旋風を巻き
起こして欲しいと思う私である。

日曜日。一番初めに行われるレースがこのSTK1000。
午前十時四十分からのレースがいつものように始まり、
いつものように終わる。何があってもおかしくないのがレース
だが、コルティが独走して、後ろからアグスタ勢の二人が
追いかけて終わるのだろうなと思っていたところにとんでもない
ことの映像が映った。

スタートからコルティが逃げを打つ。団子状態が少しずつ
離れてきた二周目のインフィールドに入るところでスズキ
を走らせていたポリータが挙動を乱してストレートのところで
クラッシュ。そして、そのマシンがストレートを不規則な
動きをしながら滑っていく。

後続のライダーがライダーのポリータとスズキのマシンを
避けていこうと走るが、変則的な動きをしていたスズキGSX
にディオニージが乗り上げてしまう。前方に一回転してしまった
アグスタとライダー。さらにオイルと水をぶちまけてしまい
ほとんどのライダーが手を挙げる。赤旗中断である。

幸いなことに、あるいは奇跡的なことに、命に関わる怪我
人は出ることなく、コース上の復旧作業にかかるが、何せ
とんでもない事故でマシンの破片もオイルも水もインフィールド
のストレートというスピードの出るところであふれている。

ということでSSのレース後に9周で行われることになった
STK1000のドイツラウンドである。

ウルトラスプリントとなったこのレース。果たしてどうなるのか
と期待感を抱きながらのレースとなったが変わらなかったのは
コルティの速さであった。まぁ、とにかく予選でのアタックが
決してフロックでなく、実力の証明であったことをこの日曜の
午後にも提示してくれた。

彼を脅かすライダーは誰もいない。レース中盤から後ろの
ライダーを見ながらの戦いであり、サンデーツーリング。
離れた二位争いはロバーツが抜け出した。アグスタ勢は今回
ぱっとしなくてディオニージは戦線を離脱。クラッシュの
主役であったポリータは痛む体を根性で抑えながら中団グループ
での走行であった。

結局コルティ圧勝。マシンが決まり、ライダーが乗れていれば
こういう結果になることを今回も証明してくれたコモ人の
週末であった。

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