人もかなり増えて、一コーナーのあたりはかなり盛り上がりを
見せている。あまりにキャパシティが大きすぎるので人が
それほどいないように思えるが、かなりお客さんが集まり、
盛り上がってきた日曜のユーロスピードウェイである。

午前のウォームアップを終えて、この日最初のレースとなる
STK1000のレースでとんでもないアクシデントが発生。
インフィールドのストレートに入る入り口でポリータが
体勢を乱してハイサイド。コース上をオイルと水をぶちまけ
ながら不規則に動くスズキGSX-Rを(それはもはやオリジナルの
形を残していないただの異物だったが)避けきれずにバドビーニ
が乗り上げて一回転するようなクラッシュ。マシンの残骸と
オイル、水をコースに残し赤旗中断。とんでもないクラッシュに
よく死人が出なかったなぁと思えるほどの事故であったが
この影響が路面に何か及ぼしていないか気にかけながらSBK
のレーススタートとなった。

SBK レース1

 ポールのベイリスを先頭に世界で俺が一番速いんだと
思っている連中が一コーナーを奪おうと押し合いへしあい
であったが、心配された混乱はなく、STK1000でのような
レース序盤でのとんでもないクラッシュもなくベイリスが
最速タイムで逃げを打つ。それを追いかける芳賀、コーサー、
ピット、加賀山の上位勢。

 四周目。優勝候補の大本命であったベイリスがコースオフし、
転倒してしまう。何とか機転を利かし、オーバルコースや違
ったコースレイアウトを使うときの道を走りながらコースに
復帰するも、トップ集団ははるかかなた。得点圏外から
ハイスパートを試みる。

 これで最大のライバルのいなくなったトップ集団は芳賀、
コーサー、加賀山、そしてピットとなるが、ピットは少しづつ
ペースダウンして遅れだす。

 レース中盤を終えた段階で優勝争いは芳賀、コーサー、
加賀山の三人に絞られ、ベイリスは得点圏に入って、前を
急ぐ。

 芳賀、コーサーの後方からレースを進めていた加賀山で
あったが、これは前半を緩めのペースで走り、後半に勝負を
賭けていたための温存策だったのか、残り数周から勝負に出て、
コーサーと芳賀を攻略。ファイナルラップは完璧な走りで
ライバルの前を許さずに守るときをしっかり守り、攻めるときに
しっかり攻めての優勝となった。

 二位に芳賀、三位にコーサーとなった。

 後方から追い上げてきて、残り二周になろうというところで
チームメイトのランツィを抜こうとしたベイリスは再び
コースアウト。しかし、これは二秒ほどのタイムロスで
リカバーし、最終ラップの最終コーナーでランツィを抜いた
(というよりエースライダーのベイリスに先を譲ったように
思えた)ベイリスはこのレースを七位で終えた。これで
レース2をベイリス優勝、芳賀三位でタイトル決定ということ
になった。

レース2

ここの一コーナーでの飛び込みが成績に大きな影響を与える
ことはまぎれもない事実。世界で一番速いと自負する列強達が
我先に行こうとするときに何が生まれてしまうのか。

トロイ・コーサーとレジス・ラコニはフライングによる
ペナルティを取られてしまい、ライドスルーペナルティを
課せられることとなった。

レースワンでの戦いぶりから優勝も有り得たコーサーの離脱
というのはライバルたちに厄介な優勝候補の脱落を意味すること
となった。

逆に抜群のスタートを切って、このレースを支配しようとして
それを実行に移したのがジェームズ・トーズランドであった。

レース1での今ひとつ感を感じさせる戦いから、マテリアルも
精神面もよりよい方向性を見つけ出したこの元世界王者は
芳賀のヤマハ、ベイリスのドゥカティ、そして加賀山の
スズキと一歩も引かない闘争心にあふれ、よく集中した走りを
展開。徐々に遅れだしたのが加賀山で、レースはトーズランド、
芳賀、ベイリスの三すくみの戦いとなった。

ホンダパワーを活かして、直線で離すトーズランドに対して、
勝つチャンスがあれば必ず勝とうとする名古屋人とオージーが
攻撃を仕掛けるが、このレース2のトーズランドは自信と
集中力が揺らぐことなくレースを支配。思いもよらぬ
ウィナーとなった。

二位に芳賀、三位は後半タイムペースを落としたのか、
落ちてしまったのかベイリスであった。

この結果でドイツでのベイリスの二度目のタイトルはならずに
次戦のイモラに持ち越し。ドゥカティの本社に一番近いサーキット
であるイモラで世界チャンピオンTシャツを着る姿を見ることに
なりそうである。

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