ドイツでベイリスは二度目の王座を射止めるのか、芳賀が
それを阻止してイモラ、マニクールまで引き延ばすのか、
オランダの結果からほぼ確定的となったゼロックスドゥカティ
ライダーの人生二度目の世界最高峰への到達にあと一歩と
迫ったドイツでのレースウィーク。

今のベイリスは強い、そして速い。手がつけられない速さという
のを初日に見せてくれた。午前中にただ一人38秒台をたたき出した一回目の予選も元気満々。やはりこの午後の一回目の予選
でも38秒台に入れてきてモニターのトップに立つ。

これに対して立ち向かっていったのが現在ゼッケン1をつける
もう一人のオージーであり、トロイの名を持つコーサーである。
懸命なプッシュでストレートから大きなアールのあるこの
サーキットを攻め続けて38.5に入れて、一回目の予選を
二番手で終えることとなった。

三番手はそのコーサーの僚友である加賀山である。チームメイト
からコンマ3秒差の三番手。コロナアルスタースズキはビール
の国のドイツで初日を2−3という順位でスタートとなった。

四番手には僅差でピット。五日前のオランダでの快走の
勢いをそのままに力走。彼も38秒台に入れてきた。

五番手にムジェリッジ。彼までが38秒台。以下ランツィの
ドゥカティ、芳賀のヤマハ、トーズランドのホンダ、今回
ここをはじめて走るバロスがファイアブレードを九番手に
押し上げて、トップテン最後はウォーカーである。

午前も午後もベイリスの勢いは変わらない。ここで二連勝
したら問題なくタイトルを決定することとなるが、その
可能性の高さが大きくなったように思える。とにかく
タイムの出方がいい。走り出していきなりいいタイムを出して、
さらにそのタイムをマークしてピットインして、何かを足したり、
引いたりしてさらに上積みを図る。迷いがないし、チーム
の方向性がぶれることがなく、まっすぐに理想とする方向に
向いていることがタイムの上がり方から容易に推察できる。

一方タイトル決定を持ち越すには芳賀の頑張りが必要であるが
何かムードというか、明るさがないように思える。まぁ、
土俵際まで追い詰められた側から勝者の明るさや解放的な
空気感がないのは当然だろうが、何かのきっかけがないと
この週末苦しいのではないだろうか。

同じようなことはランツィにも言えていて、同僚はタイトル
一歩手前でいくつも勝ってきているのに、このロマニョーロは
いまだに未勝利。昨年初優勝をあげたこのサーキットでも
苦しんでいる。

金曜日の午後までに速く走れる何かを見つけて、それを
仕上げている人と土曜日までにタイムを削るために何かを
見つけなければいけない人との差が残酷さを背景に鮮やかに
浮かび上がった一回目の予選であった。

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