火曜日から木曜日までの寒さから予選二日間は暖かい
夏のドイツ。そして、再び肌寒さを感じる日曜と天候が
日本の秋の空と女心のように変わっていた旧東ドイツエリア
のサーキット。決勝日は一コーナーの中心に人もかなり
集まりビールを飲みながらマシンを眺めるという観戦スタイルを
間近に感じながらの日曜である。

昨年のここでは一コーナーで真っ過ぎ行ってしまったり、
接触があったりと色々あったのだが、スタートでどうなるのか
が気になる。まぁ、一コーナーの近くのエリアに巨大スクリーン
があり、それを見ようと考えて陣取っている人もいるようだが、
同時に一コーナーの攻防を近くで見たい人が多く集っていた。

SBKのレースが終わり、いよいよSSとなった。今回はユーロ
スポートがSSも生で放送である。

スタートして、おしあいへしあいの一コーナーであったが
多重クラッシュなどなく続く二、三コーナーをクリア。
団子状態からばらけ始めてトップはカーテン、二番手に
ソフオグル、そして、いつもスタートが悪く自分の立場を
苦しめることの多いフォレが珍しくスタートをうまく決めて
順位アップ。三番手でレースを進める。

四番手以降は大混戦。スティゲフェルト、ハームス、
ザイゼル、ティベリオ、ヴィッツィエッロ、ナンネッリが集団
で走行である。

カーテンがトップを走行し、やや離れてソフオグル、そこから
少し離れてフォレ、ここから間があり、四番手をチームメイト
同士のスティゲフェルトとハームスがドッグファイトという
展開。以下、ザイゼル、シャーペンティエ、ヴィッツィエッロ、ナンネッリ、
ティベリオが続くが、ヒートしている四番手争いだが
スティゲフェルトがインフィールドの右コーナーでクラッシュ。
惜しいレースを失ってしまった。

中盤に入り、カーテンとソフオグルの差が縮まった。序々に
ペースアップしたこのトルコ人はトップに迫り、三位の
フォレを引き離していった。

三位のフォレは単独走行。四位のハームスは変わらず、
五番手以下が接近戦。ザイゼル、シャーペンティエ、
ナンネッリ、ヴィッツィエッロが集団での走行となって
いる。

異変があったのは八周目の一コーナー。勝負を掛けてインを
奪い順位を上げたかに思えたシャーペンティエであるが、
止まりきれずに直進。併設のオーバルコースを進んで
再びコース復帰を目指したがタイヤバリアにマシンを挟み込んで
しまう。(後にこの時に指を骨折したことが判明)
再び迂回路を使ってコースに戻るが、ピットインしリタイアとい
う結果となった。

シャーペンティエのいなくなったレースをカーテンがリード。
続いてソフオグルが続き、十秒ほど差があり、単独走行
のフォレという隊列。そこからまた差があり、ハームスが
五番手以降を離しながらの走行。そして五番手争いは混戦
であったが、中盤以降ザイゼルのドゥカティは徐々に
ペースダウンして順位を落としていく。

カーテンが何事もなければ勝つだろうという関係者の予想が
以外にも裏切られる。ソフオグルがスパートをして、
カーテンを捕らえて、さらにそこからリードを築こうと
攻めた走りを見せる。

カーテンも抵抗を試みるが、ソフオグルの燃料を消費してからの
残り数ラップのタイムは高いレベルにあり、カーテンとR6を
引き離していく。

思いもかけない展開に驚くが、このソフオグルは前戦の
オランダのウィナーであり、昨年までSTK1000でヤマハジャーマニー
に属していてこのサーキットに対する理解も深いものがある。
勢いと経験をCBR600に加味して倒せないであろうと考えて
いたカーテンを抜き去り優勝に向けて走り出す。

このトルコ人のプッシュは素晴らしく、リードを奪いそして、
昨年と同じミスをすることなく走りきりフィニッシュへ。

見事ソフオグルの二週連続制覇となった。多くの業界人の
予想を裏切る慎重に走るところと激しくプッシュするところを
冷静に判断し、マシンとタイヤのいいところを使い切った
クレバーさと彼の成長ぶりを感じさせる優勝であった。

二位にはカーテン。三位にはパークスの代役でいきなり
R6というマシンを任されたフォレが久々の表彰台となった。

四位にハームス、五位にナンネッリのドゥカティ、六位に
ヴィッツィエッロ、七位に後半タイムダウンしてしまった
ザイゼルのドゥカ、八位に前半の走りから挽回してきた
スズキのアンデルセン、九位にラグリーブのホンダ、
十位にカワサキのシャンボンというトップテンであった。

喜びを爆発させるソフオグル。まさかの二週連続勝利であるが、
評価の低かった彼が、慣れたり、習熟すれば、こういった
走りができるわけで、いかにたくさん走ることが若いライダー
に必要なことであるか、とりわけ違ったメーカーや異なる
排気量のマシンを走らせる人に必要であることかをこの
二週間は証明したようの思える。

二位に終わったカーテンであるが、勝てると予想できた
レースを二位で終えたものの、シャーペンティエがリタイアと
いうことでポイントテーブルでのリードを広げて残り二戦に
臨むことになった。前半のドーハ、フィリップアイランド、
ヴァレンシアを見て今年もシャーペンティエと思っていた
人にとってはまさかの展開であるが、ひとつのクラッシュが
どれだけの損害を与えるのか、そして、他のライダーに
チャンスを渡すのか強いリアリティを持って感じることが
できる。

三位のフォレであるが、見事な仕事振りであった。
いきなりドイツに来てR6を乗ってくれという話が彼のもとに
きたわけであるが、それは彼の能力を高く評価する人がいる
わけで、その評価する関係者の期待に見事に応えた表彰台
フィニッシュであった。

さぁ、あとイモラとマニクール。思わぬ展開になった
今季であるが、どんなフィナーレを迎えるのか。

お楽しみはこれからだ。

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