午前中のウォームアップ。強い雨の降る中、今季限りで撤退するチームのマシンが例によってオイルを撒き散らし、コースの
修復作業に手間取り、大幅なタイムスケジュールの変更を余儀
なくされ、STK1000のレースは午後へ変更、ピットウォークは
中止となり、関係者が頭を悩ませ、雨に打たれながらSBKの
レース1の時間となった。

当然レースはウェットと宣告され、雨天によるレース中断は
ない。

スタート直後、バロスがマシントラブルでピットイン。
リタイアとなった。しばらくすると芳賀、ベイリス、
加賀山、コーサーのトップ争いとなった。

この四人が後方との差を広げていく中、後方集団からチャウスが
雨を見方に迫ってきた。

動きがあったのは六周目。このレースウィーク中クラッシュの
多かった二コーナーを抜けたところでコーサーが転倒。
直後、ここまで表彰台はおろか勝利の可能性もあったチャウスが
転倒。さらに八周目の二コーナーで態勢を乱したベイリスを
目前に走りの乱れた加賀山が転倒してグラベルの餌食と
なってしまった。

五台による優勝争いが芳賀が単独走行、コースアウトして
コース上に復帰したベイリスが七秒差で走り、そこからかなり
離れて三位争いをピット、ファブリッツィオが戦い、そこから
少々離れてウォーカーという展開となった。

タイトルを狙う芳賀は優勝を狙い好タイムをキープしての走行。
大差でポイントリーダーのベイリスはこの状況でできるだけ
の速いペースでの走行ということで芳賀とベイリスの差は
広がるばかり、芳賀の姿がベイリスの視界から消えていく。

さらにそんなベイリスが二度目のコースアウト、何とか
コースに復帰したが、何とさらにコースアウトしてしまい、
このレースをノーポイントで終えてしまう。

二位集団ははるか後方でリードを二十秒に広げて、この
まま何もなければこのレースは芳賀のものになると思われた
矢先、インフィールドで転倒している芳賀の映像が目に入ってきた。

信じられない転倒で文字通り彼の二十五点と優勝は水の泡と
なってしまった。

これで優勝争いはピット(どういうわけかいつものSUOMY製の
鮮やかなヘルメットではなく、真っ白なノーデザインのヘル
メットを装着してのレース)とファブリッツィオ、そこから
少し間があってウォーカー、間があって阿部、そして何と
型落ちのカワサキを駆るブルックス、ノイキルフナー
ロルフォ、ランツィというオーダー。

さらにアッセンの悪魔は牙をむく。ここまで大健闘で
型落ちのマシンを抜群のマシンコントロールで五位を走っていた
ブルックスが転倒リタイアとなった。

トップ集団はピット、ファブリッツィオが続き、そこに
ウォーカーが迫りトップ集団は三台に。

ピットもファブリッツィオも勝ちたいという欲望と走ることが
できるタイムの限界の妥協点を探りながらの走行。そこに
勢いと勝ち気満々のウォーカーが力強さある走りで接近。
すぐにファブリッツィオを攻略して、ピットに迫る。

ピットは思わぬ伏兵の出現にもあわてずにコンスタントなタイム
での走行を続ける。このままフィニッシュに持ち込もうとするが
ウォーカーが積極的な走りでついには残り六周となった
シケインでオーバーテイク。そこからリードを広げていく。

ピットも追いかけたいが、ウォーカーはペースアップ。
イギリスから駆けつけたファンの大声援を前にリードを広げて
いく。

残り五周でリードを広げたウォーカーはセーフティリードを
保ったまま最終ラップへ。大波乱のレースを制して、彼にとって
初優勝を雨のアッセンで奪うこととなった。

二番手にピット、三番手にファブリッツィオ。

カワサキにとっては2000年の日本で井筒がダブルウィン
して以来の、PSG1にとってはキリがドゥカティで走って以来の
勝利となった。

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