スーパーバイク世界選手権のワンメイクタイヤによる
世界選手権という案と実行は論議と波紋を呼びましたが、
私が見る限り、成功したと思います。ドゥカティの
速さを同じタイヤメーカーのタイヤを使っていた当時のペトロ
ナスのコーサーは『あいつらは三秒以上速いタイヤを使って
いる』なんて話していましたし、パオロ・フラミーニ氏は
『一部のメーカーがトップチームのためにスペシャルタイヤ
を使うことで一秒のアドバンテージを得ているが、これは
競争のためにはよくない。』と危機感を抱いて、タイヤワン
メイクの方向に走り出しました。

まぁ、コーサーのドゥカティのタイヤが三秒速いというのは
どうかと思いますが、特定のチームやライダーのために
そのマシンにだけベストマッチしたタイヤを作り上げ、
そのタイヤでスーパーラップを奪ったのは事実だと思います。

大規模なワークスチームではなく、中小のチームもトップの
チームと同様のタイヤを使えることでチームの格差をなくし、
ライダーやチーム本位の市販車ベースのレースにしようとした
フラミーニ氏の行動は反対の意見もありましたが、多くの
賛同を得て、実行に移り、それが成功(少なくとも私はそう
考えている)しました。

その成功を目にして、考えたのがF1の住人ですね。
シューマッハーのドライビングテクニックとフェッラーリの
マシンに特化したタイヤをブリヂストンは作り、
同様にアロンソの走りに好ましい製品とルノーのマシンに
マッチした特性のタイヤをミシュランは用意しました。

フェッラーリ以外のブリヂストンタイヤユーザーが
フェッラーリのマシンの性格にベストマッチである
タイヤを使いこなせないのか、あまりに特殊すぎて
使いようがないのかというのはかなり深い議論になりますが、
タイヤのメーカーを一つにして、均一のタイヤを全ての
チームが使えるようにするとなると、このタイヤメーカーが
特定のチームやドライバーのみにスペシャル過ぎるタイヤを
供給して、ほかのチームは指をくわえて眺めるだけという
状況は劇的に変化を起こします。

ブリヂストンがヨーロッパとアジアでのタイヤの販売を
考えてF1に参戦し、そしてオンリーワンのタイヤサプライヤー
としてこの先も戦っていくことでしょう。高い品質の均一の
レベルのタイヤを全ての参加者に供給していくというのは
難しい挑戦であると思いますが、よく理解し、決断した
首脳部は素晴らしいと思います。

では、ミシュランはどうするのか。

四輪に関しては街中で走っているような車をベースにして
サーキットでお行われるレースをメインにしていくことでしょう。
それがDTMのようなツーリングカーのレースであり、ドイツ
というヨーロッパの大国で観客動員のレベルが高く、
エキサイティングなレースが多いシリーズでの活動と
なるでしょう。

そして、クレルモンフェランではMotoGPのことも考えていますね。
かつてのように125や250での活動を重点チームを
探して、そのマシンやライダーにとって乗りやすく、使い
やすいスペシャルなタイヤを用意してタイトルを獲ろうと
考えているのではないか。かつてダンロップユーザー
ばかりが勝っていた125というクラスでアリー・モレナー
レーシングの青木治親というライダーとホンダのマシンに
ベストマッチしたタイヤを用意して王座を取りに行き、
その作戦を成功させた過去が私には蘇ってきます。

ミシュランは世界最大のオートバイタイヤメーカーです。
彼らはたくさんのタイトルを欲しがっているはずです。
MotoGPクラスだけでなく、他の排気量もそうですし、
話を広げればモトクロスの分野でもタイトルを求めています。

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