スペイン人とスポンサーはダビデ・デ ヘアの名前を呼びつつ
フォンシ・二エトの存在を考え、
イギリスではジェームス・トーズランドの可能性を感じながら
アレックス・バロスの名前を挙げていたエリアスの代役選び
ですが、ここに来て、ミッシェル・ファブリッツィオで決定と
なり発表されました。

まぁ、他の候補に挙がったライダーより、ホンダヨーロッパとの
関係性が強く、イタリア人だったことや少し前に他社製のマシン
とは言えMotoGPマシンを走らせた経験があったことなどが
大きな決定要因であったような気がします。

私とミッシェルというのは不思議な縁がありまして、
彼がMotoGPの125でのチャレンジが失敗に終わり、
アルスタースズキでユーロスーパーストック(現在はFIMカップ
ストック1000選手権に改組)選手権に参戦していたときは
手強いライバルとして見ていて、その後、MotoGPのWCMで
走ることになったときは驚きながらも、彼の活躍ぶりを
評価し、昨年のスーパースポートで走っていたときは彼に
近い場所にいました。

まぁ、よくも悪くもローマ人ですね。彼の言葉にしても
行動様式にしてもリミネーゼやロマニョーロの私には、
あるいは日本人にはちょっと付き合うには難しい部分が存在
すると思います。

ライダーとしてはというと、、、、これが評価が難しい。
つまり、昨年は同じチーム、同じ道具でファビアン・フォレ
と一緒に走っていました。

この元世界王者はアッセンで何ともファンタスティックな優勝を
挙げました。(この時の事に関しては過去のレポートで
http://diarynote.jp/d/59911/_228_290.html

しかし、彼はシーズンエンドまで結局勝つことができずに
終わってしまいました。

ライディングスタイルに大きな違いが存在し、さらに
三ヶ国語を話すフォレに対して、イタリア語のみのファブ
リッツィオ。

コースの印象やマシンの挙動を的確に英語なり、イタリア語
で表現するフランス人に対して、感じることはできるが
言葉にうまく表現できない、あるいは脳の中で消化できずに
うまく伝えることができないローマ人。

その違いがアッセンのサスペンションセッティングを完璧に
決めて、タイヤをうまく使って、勝てる態勢を作り上げて
自信を持って走って勝つことができたフォレと100%では
ないマシンながら悪くないタイムで走り三位となった
ファブリッツィオの違いだったと思います。

このことはミッシェル・ファブリッツィオというライダーの
最良の部分と最悪の部分を象徴していますね。

100%とは言えないマシンでありながらライダーの技量で
トップレベルのタイムをたたき出し、終盤まで優勝争い
できるレース展開をするというのはいいライダーであると
思います。

その一方で、マシンの開発能力という部分では、マシンの
悪いところ、つぶさなければいけないネガティブな部分を
指摘したり、正しい方向性を示したりできないでいる。
マシンの動きやコースとの相性、マシンのサーキット各部での
あり方を感じることはできるが言葉にできずにエンジニア
やメカニック、サスペンションスペシャリストやタイヤ
担当者が何でそういう状況でありながら、結構いいタイムで
走ることができるのか理解できないということが起きてしまう。

WCM時代の彼というのは、チームが弱小であり、予算も限られて
いて、少数サポートのダンロップタイヤでやりたいことも
やれることも限られている中で、重いバイクを与えられた条件
と道具で思い切り走るライダーを求めていて、その
チームの求めたことを理解して、限界まで攻めた走りを
することで評価を高めました。

ところが昨年のスーパースポートとスーパーバイクというのは
そういうチームとは違い勝てる環境と道具を与えられてい
ながら、彼の欠落している部分が影響して勝てないでいます。

まぁ、今回は一戦だけということですが、チームとホンダは
彼にオファーを出して急に走ることになったわけでマシンの
キャラクターやミシュランタイヤの性能などわからなかったり、
感じたことがない道具でできるだけの成績を挙げて欲しい
と考えているのか、勝って欲しいと考えているのか
知りたい私です。

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