バルセロナ郊外のモンメロで行われるカタロニアグランプリ
直前になってとんでもないニュースが入ってきました。
今季レプソルホンダで250CCクラスを戦っていたセバス
チャン・ポルトが引退を発表しました。今季不振でライダーの
本来持っている能力とは離れた成績しか残していなかった
このアルゼンチン人でしたが、まさか、この時期に引退とい
うのは信じられないというのが率直な私の気持ちです。

メーカーのサポートなどなく、体ひとつでレースの世界に
やってきた彼は、プライベート体制で走る時期が長く、
才能がありながらなかなかいい体制で走る機会がありませんでした。

アルゼンチン人ということやバイクメーカーとの関係性など
日本人やイタリア人、スペイン人などに比べてハンディキャップ
がある中、世界の舞台に出てきてガッツのある走りで
関係者を認めさせ、ようやくここ数年いい体制、マシンで
走れるようになったのですが、今年はマシンとの相性が
悪かったのか、思うような土壌を持つことができなかったのか
彼の才能からは考えられない成績ばかりだったのも事実。

そんな苦しい状況からでも何かを変えて、何かを付け足して、
何かを削って、本来持っている能力を発揮できるようにして
中盤から後半戦に反撃を仕掛けてくると思っていたのですが、
彼が選んだ道というのは私の想像とは反対の方向のものでした。

ロッシと彼と私の三人でサッカーをやって遊んでいた時のこと、
ヤマハクルツでデンソーのスポンサードを得て、プラグの
インプレッションを私に話してくれたときのこと、
ブラジルで初優勝を挙げて、日本に乗り込んできた成田空港の
目が合った瞬間、到着ロビーで抱き合った時のこと、
スペインというレースの世界で特別な場所で快心の勝利を
挙げて共に喜びを分かち合ったときのこと
など彼との思い出は数多くあります。

彼が考えた上での引き際なので何とも言えませんが、
ライダーとマシンの相性がペースを鈍らせたり、
人間関係の悪化が気持ちをネガティブにさえたりというのは
今までたくさん見てきました。

いろいろなことを想像してしまう私です。

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