いつもいつも、レース前日にレース主催者から『オープニング
ラップの一コーナーでの進入に留意するように』というメッセージ
がまわってくるこのモンツァ。最高速が300キロオーバーに
なるところから急減速してクリアするこの一コーナーで面白い
戦いも首をかしげるクラッシュも起きてしまうジョーカーを
手にして戦うのか、このカードによって敗北を喫するのか
モンツァのレースが始まった。

シグナルレッドからオールクリアに。一列目から出遅れた感の
あるバロスを二列目、三列目のライダーがオーバーテイクして
いく。

そして、一コーナーに。トップグループは何事もなく慎重に
クリアしていったが、中団グループは多重クラッシュとなって
しまった。

二エト、ファブリッツィオ、ナンネッリ、イアンヌッツォと
いった連中がすぐにヘルメットを脱いだ。

トップを争うのは二人のトロイ。そして、序盤続いたのが
カワサキを駆るラコニであった。気合十分、そして、
かつてここでダブルウィンを奪ったことのある彼はこのサーキット
との相性も良く、楽しみなライダーであると言えた。
さらに復帰初戦でありながらホンダパワーを利して、ムジェリッジ
もトップグループで走行。群雄割拠になるかに思えた。

しかしながら、二人のトロイ。そして、予選二回目とスーパー
ポールは寝た振りだったのか、あるいは決勝のセットアップに
専念していたのか、芳賀の三人が抜け出して中盤を迎えた。

このドゥカティ、スズキ、ヤマハのマシンに中団グループから
抜け出して近づいてきたのがバロスのブラジルカラーのCBR
ホンダであった。かつての八耐で500の2ストからリッター
バイクの4ストに器用に乗り換え、鮮やかに鈴鹿の高速コーナー
を駆け抜けたブラジル人は日本人のファンに真夏の耐久レース
を思い起こさせる切れのある走りを披露。自分のペースを
つかんだ彼は先行するライダーをキャッチして、前に進む。

三人による優勝争いになるかに思われたが、レース終盤
ベイリスがペースアップ。コーサーと芳賀も付いて行きたいが
次第に離され、逆に後ろから現状のポジションをバロスに脅か
される。

リードを広げたベイリスは最後はマージンを保ったまま優勝。
色々な思い出が詰まったモンツァで久々の優勝となった。
二位には素晴らしい追い上げを見せたバロス。三位には
コーサーという表彰台の顔ぶれ。四位に芳賀、以下、ピット、
ムジェリッジ、ラコニ、ロルフォ、ランツィ、中富という
トップテンであった。

満足感溢れるベイリス、二位でうれしいと思いきやスタートさえ
ミスしなければ優勝もあり得たと考え無念さが強く顔色に
出ているバロス。悔しさがにじみ出ているコーサーという
顔ぶれであった。

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