ヤマハの日本人スタッフが開発ライダーであるR1ユーザーの
グラミーニと話し込んでいたり、ドイツ選手権をやっている
ホンダのチームがCBRを持ち込んで参戦。ルーベン・チャウスが
ここでの世界選手権を前に走り込みを兼ねて出走し、
今季SSのシートを失っていたアレッシオ・コラーディが
R6とダンロップタイヤで参加。日本の葛原が125でイタリア
選手権にチャレンジと様々な思惑と企画が折り重なり、独特な
空気が横溢していたモンツァの週末。

125

葛原の圧勝。モンツァのこの排気量では差が小さいと
大きな集団になり、最終ラップがとんでもないラテンバトルに
なるのだが、それを避けたかったのか、それとも好タイムが
出て、単独走行が可能になったのか、世界選手権のレギュラー
だったライダーの実力を見せる結果になった。

STK1000

PPはクラウディオ・コルティのR1。小差の二番手にルカ・
スカッサのMVアグスタ。三番手四番手とカワサキが続いた。
プラティキッツォとトルトロッリョである。ペリッツォン
のカワサキ、ゴイのスズキ、マグナーニのスズキ、キアレッロの
カワサキが続いた土曜日の予選であった。FIMカップ参戦中の
ライダーやSSで走っていたライダー、かつての125の
最年少優勝者記録保持者のゴイと面白い面子がそろっている
クラスである。

スタートでコルティがミスをするも、すぐに取り返す。
コルティのヤマハにプラティキッツォ、トルトロッリョの
カワサキ、スカッサのMVアグスタ、キアレッロのカワサキが
順位を変えながら、トップ集団を形成。この集団に序盤
フルタンク状態は遅れを取ったゴイがハイペースで追い上げ、
トップ集団を形成する。

レース終盤に入ると、キアレッロ、トルトロッリョが少し
ずつ離されてしまう。健闘していたペリッツォンのカワサキも
前を追いかけるより、第二集団で前述のカワサキユーザーと
のバトルになる。

 前半から完璧とは言えないマシンの状態ながらコルティは
悪くないタイムを叩き出し、トップを走行する。

 プラティキッツォがカワサキのマシンパワーを活かして、
パラボリカからロングストレートで並ぶも一コーナーを
制することができず、高速コーナーも抜くには至らないという
展開を何度も繰り返す。しかしながら、ようやくと言った感じで
最終コーナーから合わせて、一コーナー直前で前に出てトップを
奪う。

 この二人のバトルを冷静に見ていた感のあるゴイが追いつき、
終盤はプラティキッツォのカワサキ、コルティのヤマハ、
ゴイのスズキのバトルとなった。少し離れたスカッサの
MVアグスタは四番手を単独走行。

 コルティがコーナーの脱出スピードと旋回性の有利さを
使ってプラティキッツォを攻略。再びトップに立つ。
何とか勝ちたいカワサキスタであったが、若さとコーナーリング
の速さで目の前の勝ちを譲らずにチェッカーフラッグとなった。

二位はプラティキッツォ。三位にゴイであった。コルティは
昨年のSTK600での成長振りを終盤のつばぜり合いで証明した
モンツァとなった。

 SS 

PPはロッコリ、二番手にチームメイトのヴィッツィエッロ。
この二人のタイム差がコンマ026秒。三番手にドゥカティ
ジュニアチームのカネパ。四番手にカワサキのミッリョラーティ
で彼までがトップからコンマ六秒であった。ジュウゴバスの
ヤマハ、ボッコリーニのカワサキ、マリオッティーニ、
クルチャーニのホンダの後にゼッケン1をつけるサンナであった。

オープニングラップで中団グループで転倒者が出たが、
コース上はクリーンでレースは続行。トップはヴィッツィエッロ
続いてロッコリ、カネパ、ミッリョラーティが続く。

 四周目以降、R6の二人についていけるのはミッリョラーティ
一人となる。三人でトップグループを形成する。ロレンツィ
オーニバイレオーニのコーナーリングや脱出スピードの
速さがミッリョラーティ以外のライダーを置いていく。

 バトルの最中、ヴィッツィエッロが一コーナーでオーバーラン
するも、何とかコースアウトは逃れて、懸命のリカバー。
致命傷を負わずに戦線に戻り、トップ二人を追いかける。

 惚れ惚れする高速コーナーでの速さとシャープさを見せる
ロッコリとヴィッツィエッロに対して、トップスピードは
高いがコーナーで苦しそうに見えるカワサキというじゃじゃ馬を
操縦してトップを狙うミッリョラーティ。高い集中力と
ベテランのうまさがさえる。

 最終ラップのバトルは激しいものであったが、ヴィッツィ
エッロがトップを奪う。ロッコリもミッリョラーティも
攻撃するものの並ぶことはできても抜くには至らずに
パラボリカに。

 最終コーナーからチェッカーまで隙を見せずにヴィッツィエッロ
がトップで走りきった。二位にロッコリ、三位はミッリョラー
ティであった。

 SBK

とんでもないパフォーマンスや速さを見せられると笑うこと
以外できなくなるのだろうか。予選のチャウスのタイムと
走りを見て、笑ってしまった私であった。

 PPはチャウスであるが、チームメイトで二番手のボルチャーニ
に1.3秒差。三番手のドゥカティを走らせることになった
アルフォンシにニ秒差である。何もなければ彼の勝利になる
と思われた土曜日であった。

 その予想が当たったのが日曜日の午後。笑うほど速いのは
一日後も一緒であった。スタート以外はミスなく走行。
圧倒的な強さを見せ付けたレースであった。

 二番手争いはアルフォンシが何とボルチャーニをきわどく
破って大殊勲の二位。三番手はボルチャーニであった。

 ブリニョーラのドゥカ、グラミーニのヤマハは不発で
チャウスの強さばかり目立ったレースであった。

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