二月の終わりに開催されていた時のヴァレンシアというのは
寒かった印象が強く、インフィールドのコーナーでメインス
タンドを背にしてフォトセッションをしていた時の風の強さ
が今でも思い浮かぶ。

四月開催になって、暖かいだろうなと思ってやってきた
ライダー、エンジニア、チームスタッフを出迎えたのは気まぐれ
な天候と寒さ、僅かな日照時間であった。

何とか晴れてほしいという思いと路面温度を気に掛けながら
初日のセッションスタートである。

キリがミザノテストで衝撃のクラッシュと戦線離脱。
ムジェリッジはチューリッヒで怪我のために静養。
さらに、この週末にフランスではルマン24時間レース
開催のため、リッターバイクでフランス人でコンスタントに
タイムを稼ぎ、R1に乗れるライダーということでジャンベール
が駆り出された。

キリの後任がナンネッリ、ムジェリッジの代役にブセイ。
ジャンベールの代わりがアルフォンシということになった。

色々変わることがあったレースウィークであったが、変わらな
かったのは現在と元世界チャンピオンが高いレベルの戦いを
繰り広げるということ。まぁ、ベイリスのドゥカティと
スズキのコーサーの速いこと。この二人だけが34秒台に
入れてきた。割りにタイムが簡単に出て、そのタイムを礎に
して、さらなるタイムアップを図る。好調なライダーが
モノや人をしっかり機能させて、より高いレベルに行こうと
している姿が理解できる。

そんな二人に戦いを挑むのが他のメーカー、チームのライダー
であるが、これが日本のメーカーやライダーでなく、
ペトロナスのマーティンが意外な(私だけに限らず、多くの
業界人が)速さを見せる。二人のトロイの後ろは何と
マーティンのペトロナスであった。

芳賀のR1がヤマハユーザー最上位で四番手。加賀山のスズキが
五番手。前回のヴァレンシアテストで上位に食い込み、本人の
やる気と速さを見せつけたチャウスがドゥカティの型落ち
マシンながら六番手に入り、阿部のヤマハ、ランツィのドゥカ
ティワークスが続いた。

九番手がここが地元で燃えるニエトのカワサキで十番手が
今季からSBKをスズキのリッターバイクで戦うフォレで
あった。

そうトップテンにクラッフィホンダもDFXもウィンストンも
ない初日。ホンダ勢トップは十一番手の前世界チャンピオンの
トーズランドであった。

路面温度の低さ、風の強さ、良くなってきた天候、変化する
風向きなど自然の変化がライダーを悩ませ、エンジニアが
苦労したが、どんなコンディションでもトップを争う
二人のトロイの順位に変更はなく、常時トップ2をマーク
していた。この安定性とレベルの高さからこの週末も
この二人中心に展開されていくことが確認された金曜日であり、
マーティンの好タイムの驚かされ、芳賀が決してあきらめること
が美徳だと思わず、献身的に色々試したり、力を尽くして、
食らいつこうとした姿が確認できた初日であった。

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