チトーというクロアチア人政治家の全てを肯定すべきでは
ないし、全否定する気持ちにもなれない。思うのは、あの
バルカン半島という国で冷戦下という状況の中で冷静さを
失うことなく、過激な民族主義にはその行き過ぎたと彼が
考えたにはためらうことなくその芽を摘み取り、血で血を
争う抗争を起こすことはなかった一点において、彼は
まぎれもなく優れた政治家であったという点である。
古舘伊知朗の後のワールドプロレスリングの実況担当者、
大山総裁の後の極真殻手のリーダー、星野監督の後任など
前任者が優れた仕事振りを発揮した後は誰がやっても
どうしても見劣りする印象を抱いてしまう。そんな中
理想と現実の中でお金を払ってくれるお客さんが聞きたがって
いる作品の指揮を行い、美しいアンサンブルを奏でて、
いい楽曲を表現することの難しさをミロシェビッチという
人がタクトを振るときにたくさんの犠牲とともに見せてしまった
気がします。
優れた芸術家はわがままな人が多いのですが、自分の能力に
自信を持っていて、届ける相手が求めるものでなくて、
わかる人だけが支持すればいいとか、俺のファンは納得して
くれるとか、いいものを作っているのに、わからない奴が
作り手の苦労を知らずに簡単に批判だけしやがると思って
大衆と妥協することなく、一部の人に受けることをやって
いるアーティストに通じる精神性を彼は持っていたのかなと
いう感じがしますね。
そんなミロシェビッチのやってきたことを否定しなければ
いけない犯罪行為というのは数多くあるのでしょうが、
あの人のキャラクターをわかりやすく国際社会で悪役として
定義付けてしまい、叩くべき敵であるとしたのは果たして
正しかったのだろうかという疑問が私の心の中で沈殿して
います。
分かりやすい悪というのは黒澤明の映画の中だけでいい気がしますね。
ミロシェビッチという政治家を悪の権化とするのならば、
そんな相手に対して民主的な手続きを経て、対抗すべきで
あって、宣戦布告も、国連の決議もなく、劣化ウラン弾を
叩き込み、さらに軍事施設とは思えない化学工場や軍服を
作っているからという理由でミサイルをぶち込んだあり方
というのは正しくないと思います。
何だかいろいろなことを明らかにして欲しいとか、彼の
肉声だから説得力のある事柄がこれで全て棺桶の中に
入ったような気がしてしまう私です。
ベオグラードに行こうかと思っていたその日の晩に
ブタペストに泊まっていた私が目にしたのは国会議事堂の
失火と彼の失脚でした。CNNとBBCは臨時ニュースで取り上げて
いましたが、隣国ハンガリーのテレビ局は国営も民営局も
通常通りの番組を放送。陸続きの隣の国が大変なことになって
いるのに、こんな状況は不思議な気持ちを抱きました。
色々な意味でバルカン半島でことを起こし、反響を呼び起こして
いた彼には話して欲しいこと、説明して欲しいことがたくさん
あったのにという気持ちで一杯です。
ないし、全否定する気持ちにもなれない。思うのは、あの
バルカン半島という国で冷戦下という状況の中で冷静さを
失うことなく、過激な民族主義にはその行き過ぎたと彼が
考えたにはためらうことなくその芽を摘み取り、血で血を
争う抗争を起こすことはなかった一点において、彼は
まぎれもなく優れた政治家であったという点である。
古舘伊知朗の後のワールドプロレスリングの実況担当者、
大山総裁の後の極真殻手のリーダー、星野監督の後任など
前任者が優れた仕事振りを発揮した後は誰がやっても
どうしても見劣りする印象を抱いてしまう。そんな中
理想と現実の中でお金を払ってくれるお客さんが聞きたがって
いる作品の指揮を行い、美しいアンサンブルを奏でて、
いい楽曲を表現することの難しさをミロシェビッチという
人がタクトを振るときにたくさんの犠牲とともに見せてしまった
気がします。
優れた芸術家はわがままな人が多いのですが、自分の能力に
自信を持っていて、届ける相手が求めるものでなくて、
わかる人だけが支持すればいいとか、俺のファンは納得して
くれるとか、いいものを作っているのに、わからない奴が
作り手の苦労を知らずに簡単に批判だけしやがると思って
大衆と妥協することなく、一部の人に受けることをやって
いるアーティストに通じる精神性を彼は持っていたのかなと
いう感じがしますね。
そんなミロシェビッチのやってきたことを否定しなければ
いけない犯罪行為というのは数多くあるのでしょうが、
あの人のキャラクターをわかりやすく国際社会で悪役として
定義付けてしまい、叩くべき敵であるとしたのは果たして
正しかったのだろうかという疑問が私の心の中で沈殿して
います。
分かりやすい悪というのは黒澤明の映画の中だけでいい気がしますね。
ミロシェビッチという政治家を悪の権化とするのならば、
そんな相手に対して民主的な手続きを経て、対抗すべきで
あって、宣戦布告も、国連の決議もなく、劣化ウラン弾を
叩き込み、さらに軍事施設とは思えない化学工場や軍服を
作っているからという理由でミサイルをぶち込んだあり方
というのは正しくないと思います。
何だかいろいろなことを明らかにして欲しいとか、彼の
肉声だから説得力のある事柄がこれで全て棺桶の中に
入ったような気がしてしまう私です。
ベオグラードに行こうかと思っていたその日の晩に
ブタペストに泊まっていた私が目にしたのは国会議事堂の
失火と彼の失脚でした。CNNとBBCは臨時ニュースで取り上げて
いましたが、隣国ハンガリーのテレビ局は国営も民営局も
通常通りの番組を放送。陸続きの隣の国が大変なことになって
いるのに、こんな状況は不思議な気持ちを抱きました。
色々な意味でバルカン半島でことを起こし、反響を呼び起こして
いた彼には話して欲しいこと、説明して欲しいことがたくさん
あったのにという気持ちで一杯です。
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