ベイリス　ファンタスティックゥゥ！！！

トロイ・ベイリスが帰ってきました。ただ走る場所に
戻ってきたのではなく、ウィナーズクラブに帰還しました。
ロザイルでのテストでも喜びと感激を世界中のファンに
与えたトロイですが、スペインのヴァレンシアテストでも
トップタイム。二番手のトーズランドにコンマ9秒の差を
つけての堂々のトップランでした。

人がよく、誰からも愛されるこのオージーがMotoGPという
世界に行き、苦しみと悲しみを味わい、喜ぶ時期はほんの
わずかでした。SBKでチャンピオンになり、MotoGP
に活動の場を移したときに、中小企業のトップのビジネスマンが
一人でいろいろなことをやる環境にいて、様々なマテリアルや
人やお金がその人中心に回って実力を発揮して、成果を
あげていたが、大企業に引っ張られて、成果を求められても
大きな組織には様々な人間関係や制約、規則や政治などが
あって、自分がやりたいことができずに成果もあげられない
人のことを思い浮かべました。

コンピューターの数が多く、よくも悪くも細分化が進み、
ライダーの求められるものが違うものが多い中で彼は
苦しみ、そして成績をあげることができなかったのは、
SBKとGPとの間に土壌の違いがあったからだと思います。

そんな彼がゼロックスドゥカティとの契約を発表して
『とてもうれしく思う。離れていた家に帰るようだ』と
いうコメントを残し、色々な制約やわずらわしさから
開放されて、本来持っている能力をいかんなく、伸び伸びと
やりたいことをしながら発揮している気がします。
（これはMotoGPからSBKに戻ってきた芳賀にも言えるで
しょうが）

ベイリスは戻ってきました。それもただ本来彼が輝きを
放つ場所に戻ってきたのではなく、勝利するクラス、
勝てるサーキットにある種の開放感と安らぎとともに
舞い戻ってきました。

私と彼には97年以来の濃密なストーリーがあります。
そして、世界選手権の現場に入るまでにメーカーや
スポンサーとの関係がなかったというような共通項も
あります。だからこそ、何だか体一つで周りを納得させ、
協力してもらい、そして輝くことができる場所にいて
世界の頂上を目指す彼にはシンパシーを感じつつ、
彼の走りを見守りたいという気持ちが強く働きます。

あの強かった01、02年のドゥカティとトロイの
スーパーデンジャラスドゥオがどんな重低音ハーモニーを
奏でるのか、カタールはもうすぐです。