一位 イモラ レース1 イタリア

 新旧のオージーライダーの凄まじいバトル。レース開始直前に
雨に降られて、タイヤチョイスに頭を悩ますライダーたちで
あったがタイトルに王手をかけていたコーサーはレインで、
追いかけるヴァーミューレンはインターミディエイトという
チョイスで、この二人が乾いていく路面の中でアナザープラ
ネットの走り。タイトルを狙う二人の白熱したバトルにイモラ
熱狂。最速ライダー世界一決定戦に相応しい戦いであった。

二位 モンツァ レース2 イタリア

 三大会六レースを終えてスズキのコーサーが五勝。加賀山
が一勝。圧倒的なコロナアルスタースズキの強さと速さで
迎えたイタリアのモンツァ。地元イタリアにやってきた
レジス・ラコニは何かを変え、何かを機能させるために
考えぬいた挙句、とにかくスタートからコーサーと加賀山
に食らいついて独走を許さない、そして何が何でも追走する。
それを実行するために恐ろしいまでの集中力と闘争心で
スタートを迎え、それを行動に移した。

 フルタンク状態で苦しいなか、その作戦は成功し、カタール、
オーストラリア、スペインとは違った光景が現れ、さらに
本人もリズム良く走れ、スズキのGSXのペースが少しずつ
遅れ、彼の初優勝がなるかに思えた。

 しかし序盤の走りはタイヤの磨耗を早めてしまい、終盤
苦しい走りとなり、ヴァーミューレンに優勝をさらわれてし
まった。しかしながら、打倒スズキに何が必要で何を
やるべきかを実行し、戦う走りを全うした彼には光が
宿ったレースとなり、クールにレースを計算してできうる
限りのハイペースを維持して優勝をかっさらったヴァーミュ
ーレンはタイヤや燃費を考える冷静さを使って勝利を奪った。
熱い走りと冷たい計算が勝利と二番手を分けたレースだった。

 三位 ブルノ レース2 チェコ共和国

シーズン前に期待されたヤマハのR1であったが、阿部が
スペインで二位争いをしたいがい今ひとつの状態でチェコを
迎えた。ここでもあの格好いいヤマハのリッターバイクの
タイムも順位も今ひとつどころか今二つであり、どうなる
のだろうかと心配と不安を抱いていた人も多かった。

そんなヤマハユーザーの芳賀は予選17番手。絶望的な
予選順位であるが、そこからとんでもない追い抜きを見せた。

前を走るライダーをスタートで蹴散らすとごぼう抜きで
先頭集団に迫り、これをあっさり抜いてセーフティリード
を築く。

終わってみれば最もファンキーな名古屋人のアンタッチャブル
な勝利。眠りから覚めた芳賀の今後とヤマハが復活ののろし
をあげたレースとなった。

 四位 ラウジッツィユーロスピードウェイ レース2 ドイツ

ラコニの代打に急遽サテライトチームから呼び出されワークス
マシンを駆ることになったロレンツォ・ランツィ。レース1では
プレッシャーとやる気が悪い方に出てしまい、オーバーラン
の後、ストップアンドゴーペナルティで大きな可能性があった
レースを失ってしまった。

 そんな彼が緊張感の中で迎えたレース2。自分とマシンの
実力と能力を信じながらも、プレッシャーと戦い、ライバル
と競り合う。

 ライダー人生の大きな節目となったレースで若きチェゼーナ
人は同じマシンに乗るライバルを凌駕し、世界の列強を次々と
抜き去り、トップでチェッカードフラッグを受けた。

 ベイリスが代打からチャンスをつかんで、大きく飛躍した
ように、めぐってきた大きな、そして運命的な時間を
見事な走りでものにして、キャリア初勝利を奪ったレース
であった。

 新しいストーリーが始まるときに幸運とあわただしい舞台裏
がどこにでも存在するものだ。

五位 ミザノアドレアティコ レース1 イタリア

何が何でも勝ちたい。そして勝たなければいけない。
モンツァの後、ミザノというエミリアロマーニャ州という
ドゥカティの地元レースに乗り込んできたレジス・ラコニ。
私が理解している範囲ではトーズランドより勝利に対する
執念が強く、根性やガッツがあるイタリアの血が流れる
フランス人がプレッシャーを感じながらも、勝利に対する
強い欲望を走りにぶつけ、勝利に反映させたファンタスティック
なレース。彼の闘争心は見事であった。このレースの後の
第二レースでも彼は勝利を奪い、イタリア国歌をとどろかせた。

コメント