オーストラリアンオープンの前哨戦のハードコートシリーズ。
今日の注目はオージーだけでなく、全世界のテニスファンが
興味を抱いていたヒンギス対エナンアルデンヌですね。
世界ナンバーワン同士の一回戦の戦いはどうなるのか世界中
で気にしていたことでしょう。

ヒンギスが選手生活をストップする直前の時期に出てきたのが
ウィリアムス姉妹であり、ベルギーのツートップであり、
ロシアからのパワーヒッターでありました。

こういった前の時代のハードヒッターがかすむほどのパワー
テニスを展開する選手が頭角を現してきたときに、
ヒンギスのテニスはパワーの前に敗れてしまうのではないか
ということを多くの専門家が指摘していました。

この時期のヒンギス対他のパワーヒッターとの戦いというのは
ある意味F1におけるベネトンフォード時代のシューマッハー
を思わせるものがあり、ウィリアムズルノーという車体も
エンジンも最高のマテリアルを操るドライバーに対し、
その当時のナンバーワンのシューマッハーがどう戦うのかを
見ることができました。

車体でもエンジンでもベネトンフォードはウィリアムズルノー
に劣る(ドライバーが劣るとは思わなかったのですが)
シューマッハーがドライバーの腕でどう彼らの鼻先を
抑えるのか、どう追い抜いていくのか。

シューマッハーが有していたマテリアルはセカンドベスト
でしたが、彼には闘争本能とドライビングテクニックが
あり、素晴らしい戦術家でした。

コース上で勝てないならピット作戦で、高速コーナーが
劣るなら違う場所で自らのマシンの長所を活かすという
方法論を取り、時にはレースの最中に戦術をドラスティックに
変えて奇襲戦に出ることもありました。

ウィリアムズにあって自分にないものがモノの部分であり、
その差をドライバーの頭や能力で埋めていき、先を行くこと
ができたのが彼でした。

そんな彼がタイトルを取り、色々と無理が言えたり、要求
できる立場になり、ルノーのエンジンを欲しがり、その後
自らのチームとお金を求めてフェッラーリに入り、自分の
ドライビングスタイルに合ったマシンと体制作りを果たし、
さらに大金を稼ぐようになったのは皆様ご存知の通りです。

かように自分に足りないものを埋めていく作業でもって
ライバルを打ち破った姿というのはヒンギスのある時期にも
存在したと思うのですが、さてこのスイス人の未来はどちらに
向いているのでしょうか。

自分のスタイルをさらに発展させてパワーで負けてしまうところ
を戦術とテクニックで凌駕していくのか。あるいは多くの
ハードヒッターに打ち負けないように体を作り、パワーを
つけていくのか。

負けることから色々な発見や勉強する材料が出てくると思う
し、彼女は大変学習能力の高い人だと思うのですが、エナン
アルデンヌというパワーファイター相手に割りに簡単に
負けた彼女は何を探し、何を見つけ、何を作るのでしょうか。

お楽しみはこれからだ。

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