今年のWTAツアーシリーズの開幕戦となるオーストラリア
ハードコート選手権の最終日のコートに立ったのは、
杉山、シュナイダー、サフィーナを打ち破ってきた
ルーシー・サファローバと復帰してきたヒンギスを倒した
フラヴィア・ペンネッタでした。この両者と私は会ったこと
があり、チェコ語であいさつしたら驚いたチェコ人と
イタリア語でぐだぐだ話をしていたイタリア人の二人の
決勝というのは感慨深いものがありました。

そんな二人の決勝戦ですが、もつれる戦いになると思われた
のですが、これが割りにあっさり決まってしまいました。
サファーロバの完勝でしたね。

今季のツアーの初めての勝者となり、WTAツアー通算三勝目を
マークした十八歳のチェコ人は喜びを素直に言葉に表して
いました。

敗者となったイタリア人は自らの疲れと同時に相手のサービス
とリターンの良さを認めていました。

二コール・ヴァイディソーバに比べて出世が遅れた感があった
サファローバですが、体ができてきたのでしょうか、肩の問題
などもなくなったのでしょうか、昨年からの躍進ぶりには
当然だと思う気持ちとこれが本物でさらに上にいけるのだろうか
という推察が私の中で入り混じっています。しかしながら、
このウィークの杉山、シュナイダー、サフィーナ、ペンネッタ
といったあたりをセットを落とすことなく勝ってきている
この勢いは若いプレイヤーが急上昇するときの自信を持って、
厳しい世界のツアーをもまれながらもeaten aliveしている
リアルな姿が成績と結果という形になって具現化しています。

13歳の時に世界でナンバーワンになると言われていた彼女
ですが、肩の故障とバックハンドの弱さからジュニア大会での
成績とランクが落下し、どうなるのだろうかとチェコのテニス
関係者に心配され、同期のジュニアプレイヤーが活躍し、
プロツアーに上がっていく様をあせりながら自分の可能性と
未来を信じトレーニングと練習に励み、ポジティブなこと
だけでなく、ネガティブな場面にも遭遇した彼女には
敗北や苦しい場面から何かを学んだり、そこから何かを作ったり
自らの持っているものが正しいのではなく、色々なものを
見たり、触れたり、吸収しながらクリエイトしていく
メンタリティがあると思います。

昨年のトップ100の壁を破る急上昇、二つの大会を制した
ブレイクに続いて、杉山、サフィーナ、ペンネッタに
勝った勢いと世界七位のシュナイダーに勝った強さは未来の
トップスターになるための序曲であるような気がします。

まだ18歳で少し寄り道してきたルーシー・サファローバ
ですが、少し回り道してきた部分の強さが彼女にはあります。
素晴らしいフォアハンドがあります。そして、まだまだ
未来があります。昨年福岡の五万ドルなどで見ていて
サインや写真を求めなかった人はひょっとしたら後悔する
時がくるかもしれません。

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