FNS歌謡祭を見ていた時の話をもう一回。
どうも伊藤由奈に足りないものを感じましたね。

一青窈が出てきて、彼女が生で彼女自身が作詞者として
作った作品を彼女は彼女のカラーというかキャラクターと
か毒とかエネルギーといったものを集中し、それを拡散して
いました。そこには、見ている私はある種の緊張感と
集中力を持って、彼女の詞と歌唱をじっくり吟味しなければ
いけない空気感をテレビの向こう側から感じました。

これは彼女の生きてきた歴史であるとか、歌に対する姿勢
であるとか、作品を作った背景や現在の時代状況などを
彼女はビビッドに感じ取って、それを研ぎ澄まされた五感
を通して作品化し、それを歌っていることで発生される
一青窈磁場がそうさせています。

ところが、伊藤由奈には歌がまぁまぁうまいなというのは
感じますが、何かエネルギーとかキャラクターの濃さや
緊張感の高さを感じませんでしたね。

彼女が歌っている曲というのは、映画『NANA』の中での
曲なのですが、この曲の構成というのも、何か凡庸だし、
歌詞もひねりとか複雑さとかにかけて、つまらないものです。

この曲がヒットして評価されているようですが、私には
その理由がわかりませんね。

映画を見ていないので、映画のシーンと実にマッチして、
見ている人に強い印象を残したからセールス的に当たった
のかもしれません。私はこの映画を見ていないので、
この映画と音楽が1+1が2以上のものを作り出して
平凡に思える曲が強い印象を見る側に与えてセールスに
つながったとするならば、それは映画側の力が強いのでは
ないか。単純にあの音楽にそれほどの魅力を感じない
私です。

色々な意味で濃く、重く、強い存在である一青窈。
薄く、軽く、弱い存在である伊藤由奈の違いが
はっきりと浮かび上がったFNS歌謡祭であった気がしました。

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