あきらめが悪いことが美しいことであること、土壇場で
踏ん張ったり人、死に損ないが強いことを三十路のフランス女が
雄弁に教えてくれています。WTAチャンピオンシップに
出場しているマリー・ピエルスがなんとラウンドロビン
全勝でラスト4に進みました。

大会二日目にディメンティエバを6−2,6−3で片付けて
ツアー500勝目を挙げたピエルスは『こんなんじゃ引退
できないわ』と話していたようですが、引退を考えるには
成績が良すぎます。クリシュテルス、モーレズモにも勝って、
全八選手のうち、ただ一人の全勝プレイヤーとなり、栄冠を
目指します。

ツアーを周りはじめた時のステージパパならぬ、コートサイド
パパとの問題、カナダ国籍からフランス国籍への変更、
怪我との苦しみ、スランプの日々、そういった様々な
困難を克服し、落ちたランキングとツアーのポイントを
取り戻し、グランドスラム大会のうち、ロランギャロと
USオープンで決勝まで進み、鮮やかなルネッサンスと
人生復活の大河ドラマの主人公となった彼女には他の
人にはない奇跡的な美しさと誇りが宿っている気がします。

MISIAの曲のような果てのないストーリーの続きは
いったいどんなものになるのか、ロサンジェルスから
どんなファンタジーとくそリアリズムがティーンエイジャー
が幅を利かせるテニス界の中で生きる30歳の元美少女
から発信されるのだろうか。

お楽しみはこれからだ。

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