テニスプレイヤーには色々な人がいますが、いい娘だなと
思ったプレイヤーは応援したい気持ちになるし、いい成績を
あげて欲しいものですね。私にとってヴェロニカ・フヴォイコーバという
人はそう思わせるプレイヤーの一人です。

私と彼女は当時、まだジュニアの大会を周っているときに
大阪スーパージュニアで会いました。私が片言のチェコ語で
あいさつするとひどく驚きながらも喜んで、質問に答えて
くれましたね。

その時の大会で彼女は優勝し、ジュニアの世界ランクで上位
に進出し、ジュニアの大きな大会とプロツアーの小規模大会
を周るようになりました。

彼女のプロ初戦となったのが、プラハ郊外のプロホニッツェ
での2万5千ドルのトーナメント。実はこの大会に私は
出かけていたのですが、ノーランカーで臨みながら、
オーストリア人の150位ぐらいのプレイヤーに競り勝ち、
ジュニアでトップ10クラスのプレイヤーはプロでトップ
100ぐらいの力はあるという広くテニスの世界で言われている
ことを真実であると私に教えてくれました。

そんな彼女が翌年のミラノのジュニアのイタリアンオープン。
スーパーバイクのモンツァの翌週で時間があった私は顔を
出したのですが、驚きながらも再会を喜んでくれました。

その時の彼女はこの大会第四シード。しかしながら、グレード
Aという規模の戦いで彼女は一回戦は何とか足に疲労感を
感じながらも勝ちましたが、二回戦で負けてはいけない試合に
負けてしまいました。

試合後、ベンチに腰掛けて、ずっと泣いていましたね。

引き分けなどなく、勝者と敗者しか存在しない世界で、
楽に勝っておかなければいけない試合で負けてしまった
ショックでずっとタオルで顔を覆っていました。

彼女の友人らしいプレイヤーが彼女に駆け寄り、なぐさめて
いましたが、私はこういう時には何を言っても無駄だと思う
のでほっときました。

翌日、ダブルスの試合の前に時間があってラウンジで
くつろいでいた彼女と会って、話す機会があったので、
少し話しました。

『負けたのは残念だけど、敗戦から学ぶこともあるし、
成長するための何かをつかむこともある。それに君が
泣きじゃくっていて、ある意味安心したよ。あれで悔しく
なかったらラケットを置いて、ツアーを周らないほうが
いいと思ったからね。流した涙の数だけ強くなるための
モチベーションが君にはあると思う。』

そう話したら、静かにうなずいていました。

ジュニアで上のレベルに達していたプレイヤーがプロに
なって、ツアーを周り始めて、すぐに結果を出せる人もいれば
壁にぶつかる人もいます。シャラポワなどは前者であり、
ヴェロニカ・フヴォイコーバは後者だと思います。

しかし、ある程度のレベルに達している人が、年齢を重ね、
体ができて、体力負けしなければ、互角に戦えるだろうし、
また、プロツアーに慣れて上位ランカーの球の威力や速さ
を苦にしなくなったら、いい試合をすることもできるでしょう。

出世が遅れていますが、私は彼女はできる人だと思います。

まだ、二万五千ドルや五万ドルクラスの大会を周っている
彼女ですが、私は彼女の才能を信じています。

今年のプルホニッツェの大会に出かけることができない
私ですが、大きな大会で世界のトップクラスと戦う彼女
に会いたいとか、自信や体力を持てば、もっと上にいける
と私は信じているとか、あきらめが悪いことが世界格式の
レースを見てきた私はテニスにも大いにあてはまると
思っていることなどを伝えたいなと思っている私です。

ひょっとしたら性格がいいことがテニスプレイヤーとしては
よくないかもしれないなと思いながら。

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