このSTK1000というカテゴリーでは同じチームのヤマハジャー
マニーのケイミューレンとソフオグル、そしてスズキのコックスヘルがタイトル争い、決勝の時を迎えました。

予選トップは今回ここを走ることとなったネベル。二番手に
ケイミューレン。ロッコリ、スカッサが続きトップ4がR1。
コックスヘルは五番手。ソフオグルは六番手で日曜日の朝のグリッドに着きました。

スタートからこのレースがタイトルを争う二人での優勝争い
になることが明らかになる。ブラックに彩られたR1が後続を
周を追うごとに引き離していく。

とにかく前に出た方がこのタイトルを獲ることができる。
両者とも必死である。トルコ人の方はドイツでのコースオフ
によるペナルティで優勝を失い、イモラで転んで、タイトルが
決まっていてもおかしくないのに、自らの過ちの大きさで
ここでタイトルを決めるしかない。一方ベルギー人の方は
敵失で願ってもないチャンスがやって来たわけで、栄冠を
得るために勝ちにきている。両者の緊張が見る側にも
伝わってくる。

二人のマッチレースとなったこの戦いは残り二周に入ったところ
で先頭に立ったソフオグルが引き離そうとスパートを掛ける。
しかし、ケイミューレンも今年一年の総決算がここである。
何とか必死に食らいついていく。

ファイナルラップに入り、相手に攻撃されないだけのリードを
得ることなくソフオグルがトップを走る。ケイミューレンも
明らかに100%の走りである。

二台のR1がコーナーの半分を過ぎる。仕掛けどころが少なく
なっていく。そして、残りの部分が少なくなり、いよいよ
最終コーナーに進入するソフオグル。

ここで彼は相手のアタックを警戒して、いつもよりブレーキング
ポイントを遅らせた。

しかし、これは相手の攻撃を阻むのではなく、自らのレーシング
ラインを換えてしまうものであった。

きれいにコーナーを立ち上がれずにはらんでしまったソフオグル
の横を通常の走りをしてフィニッシュラインに向かう
ケイミューレン。

最終ラップの最終コーナーで優勝とFIMカップSTK1000世界選手権
を得たのはケイミューレンであった。

大喜びのベルギー人ライダーと隣国からやって来た彼らのファン
達。タイトルは微妙で難しい状況であったにも関わらず
世界チャンピオンTシャツを用意してお祭り騒ぎである。

一方、パルクフェルメに戻ってきたソフオグルはヘルメットを
かぶったまま、脱力状態で座り込んでしまった。

表彰台のセレモニーでもヤマハジャーマニーの二人は全く
好対照で喜ぶケイミューレンとうなだれるソフオグル。
トルコ人はシャンパンをぶちまけることなく、静かに
チームスタッフのところに戻っていった。

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