午前中の行われた、STK1000のレースはレインコンディション。
そして、その後、SBKのレース1を迎えるのだが、その前に
ウェットフリープラクティスが設けられ、その後、SBKのレース
1がスタート。ということでSSのレーススケジュールも遅れ
て始まったイモラのSSレースである。

SBKのレース時にはウェット宣言が出されていたが、ウォーミング
ラップ時にはレコードラインは乾いていて、レースは実質ドライ
で行われた。レース終盤には青空ものぞいていて、晴れ上がって
いたほどである。

そんなタイムスケジュールの変化の中で始まった決勝である。

腕を怪我したシャーペンティエだが、タイムはPPであり、
ブレイルから時計を贈呈される。しかし、ヘルメットは
脱いでいて、すぐにピットに戻った。また僚友の藤原も
欠場。飛車角なしの日曜の午後である。

シャーペンティエのいるトップのグリッドにフォレが着く。
全てのライダーが予選順位から一つ繰り上がったグリッド
からのスタートとなった。

レーススタート。スタートダッシュに成功したのはシャンボン、
それに二台のヤマハ、ファブリッツィオ、ナンネッリ、
コラーディが続く。

トップスタートのフォレだが、今回もスタートを失敗。
しかしながら確実にリカバリーに成功して、すぐにトップ
集団に追いついた。

周を重ねるにつれて、徐々に縦に長い展開になり、トップ
グループはメガバイクホンダのファブリッツィオとフォレ、
ヤマハジャーマニーのカーテンとパークス。そこから間隔
が空いて、ナンネッリ、シャンボン、ハームス、コラーディ
という序列が形成されていく。

前回の優勝で波に乗るヤマハはここでも戦闘力を発揮。
カーテンの二連勝、あるいはパークスの勝利も十分にあり得る
タイムで周回。一方ホンダ陣営の期待を背負って走るメガバイク
のファブリッツィオとフォレも好タイムを連発。イタリア人
のファブリッツィオに初優勝の期待が掛かる。フォレには
アッセンの再現を見たい人の応援が大きく掛けられる。

レース中盤に入り、突如、ラップタイムが三秒以上も低下。
肌寒さを感じていたが、スタート当初と違い、テレビでの映像
も曇りがちなものであったが、縦に長いこのサーキットの
各所で雨が降り始めていた。

トップ集団が手を挙げて雨をアピールするものの、レースは
続き、不安定なコンディションの中、気温と路面は低下したが
熱いバトルは続いた。

しかし、画面で見ている以上に雨が強くなってきたなか、
文字通り足元をすくわれて中団で走っていたサンナが転倒。
さらにシャンボン、フォレスといったあたりも転んでしまう。
トップグループで走っていたフォレまでもハイサイドを
起こしてしまった。

ようやく赤旗中断となった。見たことのない顔でファブリッ
ツィオがピットに戻り、すぐにコントロールセンターに
ホンダのスタッフと共に抗議に行っていたが、確かにこの
中断は遅すぎるものであった。

雨はどんどん強くなっていった。しかしながら、朝のウォーム
アップというのはウェットで行われていたので、特別に
ウェットフリー走行が設けられることはなく、各チーム
雨用のマシンセットアップに大忙しということになった。

中断前のタイムの第一ヒートと雨で始まる第二ヒートの合算
タイムでレース結果が決められる事態となったイモラの
スーパースポート決勝である。

医師団のOKが出て、ピットクローズ直前にフォレが到着し
シャークヘルメットが雨用のケアをしたヘルメットを大慌て
でかぶってグリッド到着。第一レースの中断前の順位に
沿って、ヤマハジャーマニーの二人が1−2、メガバイクの
二人が3−4というグリッドで第二ヒートのレースがスタート。

スタートダッシュを決めたのはカーテン、パークスの二人の
ヤマハ、それに割って入っていったのがファブリッツィオ、
その後ろから追いかけるフォレスのスズキは転倒し、
ナンネッリ、コラーディの二台のドゥカティが追いかける展開。

ドライでは二台のヤマハ、ホンダに離されていったドゥカティ
であるが、ナンナッリ、コラーディ共に雨は得意である。
とりわけナンネッリは再開二周目からスパートを開始、
イモラ特別仕様のドゥカティ749は瞬く間にトップに浮上した。

世界格式のレースでトップと二位以下のライダーにラップタイム
が一秒違ったらかなりライダーやマシンに差があると思う
筆者であるが、この時のボローニャのマシンに乗る、トスカーナ
人のタイムというのは何と後続に三秒以上速いタイムを連発。
合算タイムでもトップに上がりリードを築いていく。

これにはさすがに雨でも速いカーテン、コラーディ、ファ
ブリッツィオもついていけず、リードは広がる一方であった。
残りのメンバーで二位の座を争う展開となった。

モンツァで輝いて見せたナンネッリはここでも抜群のマシン
コントロールを発揮。まさに水を得た魚でドライでは考え
られないタイム差をライバルにつけていく。

二位争いはカーテン、コラーディ、ファブリッツィオと
なったが、ファブリッツィオは次第に離されて行き、カーテンと
コラーディの争いになった。

終盤ペースを落とす余裕も見せたナンネッリが大殊勲の
初優勝。二位に合算タイムで先んじたカーテンが入り、
エミリアロマーニャ州のパルマに住むコラーディが
同じ州で行われたレースで03年のヴァレンシア以来の
表彰台を得ることになった。

以下、ファブリッツィオ、パークス、雨の中戦闘力に劣る
カワサキをよく走らせたアントネッロ、フォス、シュティ
ゲフェルト、マリオッティーニ、ラグリーブというトップ10
であった。

優勝もあり得たフォレであるがハイサイドで負ったダメージを
気遣いながらの走行で11位に終わった。

本拠地のあるボローニャから最も近いサーキットで開催された
レースで望外の優勝を得たドゥカティ陣営はお祭り騒ぎ。
さらにチーム関係者、そしてナンネッリファンクラブの
連中、そしてナンネッリにとって最もファンタスティックな
一日となったイモラであった。

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