今回もヨーロッパラウンドのレースということで併催された
STK600とSTK1000についても書いて皆様にお届け。

STK600

ここまで圧倒的に速く、そして強さを見せつけて来た
ヤマハのコルティとホンダのティべりオ。今回もイタリア人と
フランス人のこの唯二のウィナー達による争いになるのだろうと
初日の圧倒的なタイムを見て思っていた。

しかし、そこにカワサキ600を駆るカネパが現れ、なんと
ポールポジションを奪ってしまった。そんな予選を反映して
今回は三メーカー三人によるトップ争いとなった。

レーススタートし、いつもの二人の戦いになると思っていた
ファンや関係者の考えを裏切り、素晴らしい走りを披露し、
三台による優勝争いとなったこのレースでも序盤から好調ぶり
を見せていたカネパには今季初めて始まったこのカテゴリーの
三人目のウィナーになる可能性を大いに感じさせた。

しかし、そんな美しい想像をぶち壊したのがリアルなマシン
トラブルであった。十周目のメインストレートをいつもとは
違う音でゆっくり走っていく彼のカワサキに11周目を走る
力はなくリタイアとなった。

レース終盤に入り、いつものようにいつもの二人での戦いに
なった。絶好調のコルティに、足の怪我から復帰途中にある
ティべりオ。タイトルにかなり近づいたイタリア人に、まだ
逆転チャンピオンをあきらめていないフランス人。二台の
600CCマシンによるバトルは後続を全く寄せ付けず、
最終ラップに入っていった。

どちらも勝ちたい、どちらも負けたくない。シーズン当初
から激しいライバル意識を燃やしている二人が死力を尽くして
抜き場所とブロックラインを完全に理解しながらの激しい
走行となった。

最終コーナー手前のシケイン。お互いがぎりぎりのブレーキング
で前に出ようとする。二人のチャンピオン候補のぎりぎりの
技術と精神力での戦いに手に汗を握って見ていたファンと
関係者の目に映ったのは、ブレーキングを少々我慢し過ぎて、
よろめき転んでしまったコルティとそのあおりを食って
しまったティべりオであった。

慌てて再スタートしようとするがなかなか思うように任せない
中、三位を走行していたベルジェのマシンが通りすぎていく。
ようやく痛めている足をさらに痛めながらもティべりオが
マシンにまたがり再スタートして、二位でフィニッシュ。
三位にスズキのシメオン。コルティは九位であった。

スタートフィニッシュラインを超えて、ピットウォールに
マシンを寝かせて、さらに痛めてしまった足を見ながら
座り込んだティべりオにチームスタッフが駆け寄る。
勝ちたいというライダーの執念と負けたくないという気持ちの
強さがフィニッシュと同時に無くなり痛みが吹き出してきた
ライダーを抱えて表彰台に向かった。

ウィナーは16歳のカワサキユーザーのベルジェ。しかしながら
ヒーローはティベリオであった。

これでここでのタイトル決定はなく、イモラかマニクールで
初代アンダー20STK600王者が決定することとなった。

コルティ、ティベリオの激しい戦いは最後まで続く。

STK1000

ヤマハジャーマニーの地元で今回段違いの速さを見せた
ソフオグルがポールシッター。その彼がチームメイトを
従えて1−2フォーメーションでレースを支配。

一方、他のライダーはついて行けず、スカッサが単独の三番手、
キアレッロ、アントネッリ、コックスヘルが四番手争いを
することとなった。

ソフオグルが先頭で走り続けるものの、圧倒的な差をつけること
はできず、同じ道具を使うチームメイトのケイミューレンも
好タイムでつかず離れずの状態でファイナルラップへ。

このプレッシャーに負けたのか、コース中盤でコースアウト。
何とか転倒は逃れてグリーンゾーンを突っ走り、ケイミューレン
の鼻先を抑える形でコース復帰。

ケイミューレンも攻撃するものの抜くところまでには至らず、
チェッカーフラッグ。優勝ソフオグル、二位ケイミューレン、
三位スカッサという序列でゴール。

しかし、この最終ラップでのトルコ人の走りが審議の対象と
なり、最終的には20秒のタイムペナルティということに
なった。

最終順位は優勝ケイミューレン、二位にスカッサ、三位に
キアレッロでソフオグルは六位に降着ということで、この
カテゴリーもまだまだタイトルは決定することなくイタリア、
フランスを迎えることとなった。

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