まず最初に場内を沸かせたのは芳賀だった。予選二回目
あまりいいところを感じさせなかった彼であるが、
このサーキットレイアウトはスタートポジションが大事
であることを歴戦の雄はよく理解していて、一発の速さも
持っている。40秒台前半のタイムをたたき出して、
ヤマハのピットに喜びと安心を与えた。

さらに今週好調のピットが39秒台に入れて、日曜日に
面白い存在であることを教えてくれる。

残るライダーが少なくなり、固唾を飲んで見守る関係者と
観客。そこに登場したのが、ここまで同じマシンで初めて
走るランツィに先を越されてばかりいたトーズランドである。
実によく集中し、予選よりコンマ4秒縮めて39秒6に
入れてきた。さすがである。

ヤマハ、ドゥカティのワークスチームのライダーが
好タイムを出してモニターの上位を占めていた状況に
まったく満足できないライダーの鏡が先週のテンカーテ
ホンダダブルウィンの主役のヴァーミューレンであった。

予選二回目は僚友に僅かに先を越されたがここではきっちり
と39秒台に入れてこの時点でのトップとなった。

ヴァーミューレンのポール獲得はなるのだろうか。
そんなムードが漂う中、ロレンツォ・ランツィがアタック開始。

それまで出走していたライダーの区間タイムを上回り、
嫌らしい感じのシケインを抜けてフルスロットルで最終
コーナーを駆け上がりドゥカティサウンドを響かせて
得たタイムは何と39秒019。

驚くべきタイムであったコーサーの予選ラップを僅かだが
上回った。これは素晴らしいタイムであった。

そのランツィのスーパーアタックタイムをぶち破るために
コーサーがアタック開始。
さすがポイントリーダー、そしてワールドチャンピオンと
思わせる攻撃的だが美しさを感じさせる鮮やかな走りで
ランツィとほぼ同じタイムで各区間を駆け抜けて最終コーナー
からフィニッシュラインへ。

逆転ポールかと思われた素晴らしいラップだったが、
ペルージャタイミングの計測は39.092を発表。
コンマ073秒差でファクトリードゥカティ初ライディングの
ランツィがポールシッターとして日曜日を迎えることに
なった。

歓声に包まれるドゥカティピット。一週間前はラコニのクラッシュ
で一人体制で戦うことになり、レース後ばたばたしながら
各所との交渉と調整を行い迎えたドイツの土曜日にこんな素晴
らしい出来事が待っているとは全くもって望外の喜びであった
ことだろう。

ランツィ、コーサー、ヴァーミューレン、トーズランド、
ピット、ムジェリッジまでが39秒台。芳賀、ノイキルフナー、
加賀山、マーティンというトップ10であった。

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