ラップに名古屋弁のイントネーションを入れるという
東京文化圏でラップを勉強し、やり始めた人間には考え
られない手法を織り交ぜる現在も名古屋在住のラップグループ
の新しいシングルが発売になりました。

早速試聴してみたのですが、これは傑作だと思いました。

まぁ、名古屋のFM局は当然のことながらリクエストもあるし、
彼らの作品が出たということであればプレイするのでしょうが
ラジオから流れる前に私はレコード店の試聴機で聞きましたが
彼らの今までのいい作品群の延長線上にある作品になりましたね。

私が彼らの存在を知ったのは、あの傑作シングルにして
最大のシングルヒットのココロオドルからですが、あの作品
の後に発表されたシアワセナラテヲタタコウは好きでは
ありませんでした。

彼らの作品の中に出てくる詞というのは現実を直視し、
そこから彼らが状況を分析し、そこから何があって何を
すべきなのかということをラップで語るものですが、
あのシアワセナラテヲタタコウは彼らの理想というもの
を強く主張するあまりリアリティから遊離して、いささか
空想的なメッセージになっていたような感じがして、私と
してはちょっと積極的に聞きたいという気持ちはなかった
です。理想と強すぎるポジティブシンキングに走りすぎて
しまって私がいいと思える詞ではなかったですね。

しかしながら、今回のこの作品においては、彼らはいい意味で
現実的になっていて、彼らの思いがアッパーな曲といい
バランスが取れていて、そこに彼らMC5人の見事なマイクリレー
が重なり見事な曲となりました。こうなると素晴らしいと
いう言葉でこの曲を語ることができますね。

やりたいことやいいたいことがDJと5人のMCにしっかり
根付いて、そこであのメンバーだからこそできる見事な
マイクリレーが絡む。まるで最高級のパスタに極上のパスタ
ソースが絡まるように、あるいは我が愛しのドラゴンズの
二遊間コンビの荒木、井端の素晴らしい守備力が相手チーム
の打者の放った強い当たりのヒット性のゴロ
をあの二人の見事な予測能力、運動能力、フットワーク、
コンビネーションで併殺打になってしまうように、
ぴったりとあった息というか間が美しいものを紡いで
います。

うまい人や能力のあるプレイヤーがちゃんとしたリズムで
自分にあった相方を相手にやりたいことができると美しさを
伴った動きや作品になることをこの名古屋人ラッパーの
新しい作品は証明してくれましたね。

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