イタリアのチームで働いたり、仕事をした人にとって
イタリアでのレースというのは特別なものであるのは
間違いありません。私もこのことは痛いほど幸福と不幸せを
感じたことがありました。そんなイタリアのリミニ郊外の
ミザノアドレアティコで行われたスーパーバイク世界選手権
のサンマリノラウンドで久しぶりにいい結果を残したのが
チームメガバイクでCBRを駆って参戦しているファビアン・
フォレでした。今回は彼について考えてみました。

かつてダヴィデ・ブレガがライダーとして走っていたときの
こと。現在はチームライトスピードカワサキのチームマネー 
ジャーである彼がスーパースポート世界選手権を二年だけ
走っていた時期がありました。その時にレッジョエミリア
から30分ほどバスで行った町の彼のオフィスで話していた
時に私が『今スーパースポートクラスで一緒に走ってみて
速いと思えるのは誰だ』と質問したところ、返ってきた答え
がフォレの名前でした。まぁ、一緒に走っているライダーと
いうのはあまりライバルのことをよく言わないというか
言いたくないのですが、素直に彼の名前が出てきたのに少々
驚いた覚えがあります。

私も彼の才能は成績から考えて当然だろうなと思ったのですが、
彼のナチュラルな速さを理解したのは彼がカワサキで
走って勝ったミザノアドレアティコでの時でした。

その前の年に彼はテンカーテホンダ、ピレリタイヤという
パッケージングで藤原を破り世界王者になったのですが、
その翌年、いいオファーを受けてカワサキ陣営に移りました。
ホンダCBR&ピレリからカワサキニンジャ&ダンロップという
チェンジで新しい冒険になったのですが、同じパッケージ
で走った他のカワサキスタは中団グループでバトルするのが
やっとという状況の中、彼はコンスタントに他のカワサキ
ユーザーより速く、そしてミザノアドレアティコでは優勝を
さらっていきました。

この時に速いライダーは何に乗らせても速いし、ポジティブ
な条件がそろえば、マシン的にパッケージ的に苦しくとも
ライダーの腕で勝つことができるということをまるで
ベネトン時代のシューマッハーが強い強いウィリアムズ
ルノーのドライバーを打ちのめしたように見せてくれました。

めぐり合わせが悪かったり、バッドラックと出くわしたりと
苦しいシーズンを送っていた彼ですが、このフランス人は
カワサキでもヤマハでも腕がさび付くことはなく、速さと
確実さを有しているライダーです。今回のミザノアドレアティコ
での二位で何かをつかんで今季三番目のこのカテゴリーの
ウィナーになり、タイトル戦線をかき回してほしいと
思っています。

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