ロランギャロのタイトルを手にしたのはエナンアルデンヌでした。
好勝負が期待された女子シングルスの決勝でしたが、エナンが勝った
というよりピエルスが最初から最期までペースを掴めずに自滅した
という印象が強いですね。ベルギー人の強さが目立ったということは
なくて安定性が際立ち、逆にフランス人の不安定さがゲームの
大部分を支配してポイントが決まりサービスゲームを落としたという
思いを強く抱いた決勝戦でした。

こうも一方的に決まるとは思わなかったので、もっと見たかったなぁ
という松岡修造の気持ちを私も感じていますし、テレビ東京系列や
WOWOWを見ていた人も思ったと思います。

それにしてもエナンアルデンヌはある部分世界一強いですね。
その部分というのはメンタルだと思います。テレビ放送中にも
アナウンサーと解説の伊達、松岡が触れていましたが、昨年の
秋からウィルス性の病気とひざの故障でプレイできずにいました。
一般人は風邪を引いたら、すぐに薬を飲めばいいのでしょうが、
現在の世界的なプロスポーツではそう容易に風邪薬を飲めない
環境にあります。また、時の流れと世界中にプレイヤーも
大会もあり、シーズンオフが一ヶ月半というプロスポーツの
世界でどんどん新しいプレイヤーが出てくる中で半年以上の
ブランクというのは全てを失う可能性も強いのですが、必死に
治療とリハビリをして復帰後、一敗しただけで今季23勝している
というのはすごいことだと思います。

また、このブローニュの森はエナンアルデンヌに試練を与えまし
た。一回戦のマルチネス、ニ回戦のルアノ=パスカルなんて
大規模大会の決勝クラスのカードですし、四回戦が昨年の
USオープンチャンピォンのクズネツォワ、QFがウィンブルドン
王者のシャラポワ、SFがペトロワなんてとんでもないタフな
ドローでしたがこの厚い壁を打ち破って決勝にやって来ました。

このタフなドローを勝ちあがり、土曜日の午後を制した彼女
が一ヶ月後のウィンブルドンでどうなるのかわかりませんが、
体力や予想、戦術の巧みさなどが同じレベルだったら、精神的に
強いプレイヤーの方が勝つのは自明の理です。ひょっとしたら
シャラポワが世界一になる前に彼女がその座を奪う可能性も
感じる私です。

それにしてもこういうすごい女性を見ていて思うのは、こういった
人の彼氏やだんなというのは大変だなと思いますね。ウィナーズ
スピーチで『私のような人をずっとサポートするのは大変だと
思うけれど、それをずっと一緒にやってくれただんなに感謝
します。』なんて言っていましたね。

諦めが悪く、気が強くて、負けず嫌いで、執着心が強く、自分
のためにいいものは何でも取り入れて時間とお金を使うという人
のそばにいるというのは大変なことだと思います。まぁ、それが
できる人だからこそ結婚できたのでしょうし、広い意味で同業者
だから分かり合えるのでしょうが、それでも世界で一番になりた
いとか、ベッドから立てないような状態でも私は再びラケットを
握るんだという強い欲望を抱いて、必死にリハビリするプレイヤー
のそばでサポートするという役目というのは覚悟とか根性、忍耐
というものが必要なわけで難しいことだと思いますね。

今日のベルギーは大騒ぎでしょう。

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