MotoGPのムジェッロが近づいています。毎年色々なことがあり、
年々チケットの値段と観客数が上がっていき、環境対策の
ために無鉛ガソリンに4ストロークだと話しているのに、
サーキットの木は切り取られ、ほたるを見ることがなくなって
しまったムジェッロサーキット。そんなムジェッロに
私は今年行きませんが、昨年行った時に感じたことを書いて
見ます。

ヴァレンティーノ・ロッシがヤマハに移り、ホスピタリティ
スタッフのマックスというイタリア人もレプソルホンダの
服から変わりゴロワーズやヤマハのロゴの入った服を着て
タバコブランド二つが掲げてあるホスピタリティで働いて
いました。

入り口にはwelcome,benvenutiなどサーキットで聞かれる言語
で書いてありましたが、歓迎とかようこそと日本語で書かれて
いないのはヤマハの日本色を出さない控えめな態度とも
取れますが、ちょっとさみしい気がしました。私は日本人
ですからね。

その日本人であることを意識したのがマックスとの会話でした。
『私はここで何か悪いことが起きて欲しくないね。盛り上がる
のはいいけれど、我々日本人は若井を不幸な事故で失って
いるし、昨年にここではノリックがえらい目に遭った。』

と話すとどういうことかと尋ねる彼。

『何かって、イタリア人のフーリガンが彼にカミカゼアタック
をしてヘルメットを奪い逃げ去ったじゃないか』

ロッシに関することには細部に至るまで気を配り、できる
だけのことをしようと頭も体も働かせるが日本人ライダーに
何があっても興味のないイタリア人のこの男が発した言葉
というのは『meno male』(悪くない)という心無い言葉でした。

業界人でしかも同じチーム、メーカーで働いている人間で
こんな言葉が出てくるとはさすがにイタリア人的なメンタリティ
を有している私も思わなくて、怒るやらあきれるやら。

まぁ、彼にすれば自国のスーパーヒーローでヤマハに移っても
成績を残し、こうやって職場を与えてくれるライダーのロッシ
のことは何でも食いつくのでしょうが、日本人ライダーの
心配などしないという本音が出たというところでしょう。

そんなイタリア人が印象の変わるような走りが昨年のノリック
が出来なかったのも事実で、いい成績を出せば手のひらを見事
に返すある意味正直で純粋とも言えるのがイタリア人なのです
が、そう思う一方で同じウェアを着ていて働いている人間に
あんな言葉を口にする人がいる。
一言で言うと嫌でしたね。あの一言以来彼に対する印象が変わ
りました。まぁ、そんな彼のメーカーのえらい人の前では
i love japan.なんて言うのでしょうが。

愛されていなかったノリックを実感した瞬間でした。

そのノリックが今季、SBKに活動の場を変えて参戦している
チームというのがヤマハフランスです。

ここのチームのガルシアの親父さんにはかつてお世話になった
過去もあり、ここのホスピタリティスタッフも知っている
面々です。

私がヴァレンシアに到着し、イタリアのチームと共にサーキット
に入りました。ヤマハフランスのイメージカラーのブルーの
カラーリングのホスピタリティの前を通るとものすごいおいしい
料理を作る(私はこの親父のブーギニオンが五年も前に食べた
のに今なおあの印象が残っている)シェフが結構離れたところ
から私の姿を確認すると駆け寄って来ました。

いつものようにbonjour!から始まってあいさつしていたのですが、
彼が笑顔で『我々のチームは今季阿部と一緒なんだ。一緒に
居られてうれしいよ。彼はスターだし、こうして今季うちで
走るということで同じ時間を過ごすことができて楽しい。』
と話してくれました。

ライダーが速く走るには色々な要素があると思いますが、
いい道具、環境と同時にリラックスできたり、楽しい時を
過ごせる人や場所というのが必要だと思いますね。
愛されていなかったノリックを感じた巨大なホスピタリティ
での昨年とこじんまりとしたホスピタリティだけど、
おいしい料理を作ってくれる親父にビッグウェルカムで
迎えられて愛されているノリック。大きな違いを感じる私
です。

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