スーパーバイク世界選手権のヨーロッパ内で行われている
レースで併催されているレースでU20のユーロストック600
というクラスがあります。今回はこのクラスに参戦中のヨアン・
ティべリオについて書いてみたいと思います。

今季このカテゴリーに参戦している彼の名前を初めて聞いたのは
03年のフランスのマニクールでした。私の友人が600に乗れる
才能のあるライダーを探してきてくれと頼まれてシャークヘルメット
のジャンマルクと話していたときに彼から即座に出てきたのが
彼の名前でした。

その後、05年のこのクラスの開幕戦を簡単に勝ち、才能を
レースファン及び関係者に見せつけた彼はモンツァにやって来ました。

予選一回目をトップ。さらなるタイムアップこそならなかったものの
PPを獲得。土曜の午後のレースに臨みました。

オープニングラップの1コーナーこそ遅れを取ったものの、すぐに
挽回し、今回好調のコルティとのマッチレースになりました。

高速コーナーで速いティべリオ、アスカリの切り替えしで差を詰める
コルティ。高速ライトハンダーで度胸と技術の荒くれ二丁拳銃を
有し何度もこのコーナーでアウトからほれぼれするようなパッシング
をするティべリオとヤマハ600のコーナーリングスピードと
地元のホームアドバンテージを持ち、パラボリカや1コーナーで
出し抜くコルティ。どちらも突き放すには至らずに勝負は最終ラップ
に持ち込まれました。

ストレートの速さや高速コーナーでの強さなどで勝てるかに思えた
ティべリオでしたが、コルティは自分がどこが速く、どこで勝負で
きるかよく知っていました。

アスカリでぴったり付いて、直線で並び、抜き去った彼のR6。
パラボリカをトップで入り、巧みにパラボリカの出口から抜けて
フィニッシュまでのストレートを走り、ティべリオに反撃を許さず
この勝負を制しました。

喜びを爆発させるコルティはタイヤスモークを上げて勝ちどきを
上げます。一方敗者のティべリオは心なしか悲しそうな様子で
パルクフェルメに戻って来ました。

表彰台でのセレモニー。二位の位置に立った彼は悔しそうな顔を
していましたね。勝てる可能性が高かったレースを落として
二位になったという気持ちがよく表情に表れていました。

なんだか彼の表情を見ていてかつてのテニスのジュスティーヌ・
エナン・アルデンヌを思い出しましたね。彼女はジュニア時代から
強かったのですが、勝つべき試合、勝たなければいけない試合に
負けてしまい、悔しくて泣きながらすぐに練習していたといいます。

世界のトップに行く人というのはすごい負けず嫌いであきらめの
悪い人ばかりですが、ティべリオの二位という結果に満足できない
姿から、あの強い強いウィリアム姉妹をぶち破り、実力で世界の
トップに駆け上がっていった時のジュスティーン・エナンを
思わせるものがありました。

あの03年のマニクールでシャークヘルメットのジャンマルクに
即座に『600で速いのはティべリオ』と言われたときに誰なんだ
と思いましたが、彼の言葉には自社がサポートしているライダーと
いうひいき目があったとは思いますが、実力を測定する目も存在
していたとヴァレンシア、モンツァとレースを見て思いましたね。

三年後が楽しみなフランス人の若者です。

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